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エネルギー社説批判

持続可能な都市環境特論第二

選択した記事

エネルギー論戦あまりに低調すぎないか 2019/7/9産経新聞

内容

タイトルにある議論の低調さというのはその通りだと思う.日本では特に政治において,理想論で選挙戦が行われるものの,現実性がないことも多い点がさらに指摘できる.左寄りの政党は,一様に原発を反対するが,それに伴うエネルギーの代替案を具体化できているとは言えない.再生可能エネルギーについては,どの政党も唱えているが,現実の課題に対する解決策としての妥当性が著しく不足している.こうした理由から,選挙戦の議論と内閣や行政で行われる施策に乖離が生まれ,政治が機能不全に陥っている.太陽光は講義でもあった通り課題が多い.その点を法律や財政面から,どのように適切に扱うかの議論こそが重要だが,それが行えていないので低調な上,不適切である.より現実的な施策としては,ヨーロッパで大規模に行われている洋上風力発電や,小水力発電が挙げられる.いずれもポテンシャルを秘めつつ,既存の法制度などでネックになっている部分がある.それを適切に解消し,支援していくことが本来政治に求められる姿,取り組みである.
どちらも日本には適した発電方法である.島国の日本の洋上のポテンシャルは言うまでもない.偏西風や冬季の日本海からの北風などは大きく期待できる.小水力は日本の土地柄からあっていると言える.水力は位置エネルギーを用いるが,日本は山がちで河川の勾配は他国と比べ,非常に大きい.これはエネルギー的に有利である.また国土が狭く大陸のような大きな水力発電はどうしても作れない.現在はこれらのエネルギーが無駄になってしまっているが,これを拾い上げることが重要である.特に水は常に流れ続けるものであり,ベース電源としての安定感は高い.本来の定義からは外れるが,堰などを随時用いれば,太陽光などと比べ柔軟性も高い.また設備利用率も高く50~90%である.太陽光の5倍の効率ともいわれる.さらに設置面積が小さく,経済性も高い.一方で,豪雨時などはリスクにもなる.しかし現在は知名度が低い上,法的手続きや権利関係が課題となっている.新聞は知名度を,政治は手続きの簡略化の規制緩和を行っていく必要があり急務である.
化石燃料については,ホルムズ海峡のタンカー攻撃によるリスクを挙げているが,石油に限ったもので,少々煽っているような印象を受ける.しかし重要な問題で議論されるべきなのは間違いない.また立民の石炭火力をゼロというのも,それだけではバカげた話にすぎない.よりリスクの低いベース電源を示さなければならない.また調整電源の必要性を論じるのも,問題に素直に向き合っているとは言えない.これは火力に限らず,電池の開発を促すようなアプローチもありうる.あるいは講義でもあったように,供給側だけにフォーカスするのではなく,需要側に訴えかけることも必要だ.多くの人へ発信できる新聞としては,そういった役割こそが果たされるべきである.例えば,五輪などもあり鉄道の混雑緩和のためのピークタイムシフトは最近非常に議論になっている.それに便乗するように,電力のピークタイムシフトを論じるような世論を醸成すべきだろう.
最後に原発関連についてだが,やはり新聞社の色がついており少々議論が飛躍して過激だ.確かに安易な停止は避けるべき事態であるが,重大なインシデントを起こした以上,再発防止は徹底して行われるべきで,慎重に行われなければならない.政治的に煽られたこともあり,市民にはセンシティブな問題である.トップダウンで強硬的に行えば,分断は避けられない.これは自身の専攻の都市計画の分野でもしばしば語られる.そのため全員は難しいが,大きな分断が起こらないよう丁寧にボトムアップ型で議論を進めていく必要がある.また各技術としては,核分裂ではなく核融合によるエネルギー生産に強く期待したい.ITER計画というものなどがある.核技術が各人のノーベル物理学賞受賞からも分かる通り,世界でもけん引役の立ち位置におり,珍しく米国の立場は低い.ここで中心的な立場になることで,国際的にも強い立ち位置でリーダーシップを取れる.そこでエネルギー的に持続可能になり,外向的にもこれまでの弱い立場から形勢逆転できる可能性もあると考えられる.

参考文献

産経ニュース「【クローズアップ科学】日本の新核融合炉、建設大詰め エネルギー問題解決へ」
https://www.sankei.com/life/news/190120/lif1901200005-n1.html
(8/11アクセス)
J-WarER「小水力とは」
https://getpocket.com/redirect?url=http%3A%2F%2Fj-water.org%2Fabout%2F
(8/11アクセス)