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高専から駅弁大学から東工大へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

ゼミ17:トラックの高速道路輸送などに着目して

Battery Dimensioning and Life Cycle Costs Analysis for a Heavy-Duty Truck Considering the Requirements of Long-Haul Transportation

Ivan Mareev, Jan Becker, Dirk Uwe Sauer

MDPI and ACS Style Energies 2018, 11, 55.

内容

ドイツの長距離輸送の条件を考慮し,EVトラックに必要なバッテリー容量を調査し,DVとLCCを比較した.EVはバッテリーのエネルギー密度から,その容量と充電施設の補完が必要ではあるが,全体の効率はDVや燃料電池FCVに比べ良いとされる.他の論文でも大型EVは検討され,容量は270,400kWhとされた.これをドイツの一般に150㎞以上で40t級の輸送に当てはめ,再検討している.

運転特性を論理的に細かく再現したモデルで使用電力からバッテリーを逆算した.そして2台のモータで376kWとなった.また充電回数などからLCCを求めた.

そこに高速道路でのEV走行をシミュレートし,状況に応じ1.33,1.83kWh/kmの電費を得た.そこに法律(航続時間4.5h)と劣化を考慮し,600,830kWhが容量として得られた.ここで休憩時間の45分に急速,(また4.5h,)使われない時間の14時間に緩速充電が行われるとして,バッテリーの寿命などのNPVのLCCを,DVと比較しシナリオ分析した.(なお日本では4hに0.5hの休憩)

燃費は,一般的運用のDVで3.33kWh/km(EVの2.5倍程)となり,熱損失が大きいことが分かった.またこれは高速道路では0からの加速が少なく,パワーがあまり求められない影響も考えられる.車重は,DVで1700kg程,EVはテスラのカタログの密度を仮定して容量に応じ,1800~2000㎏となり,積載量の23%減少が示された.ただし現状70%ほどで運用され,許容できるだろうとしている.また容積は4000~4500lと計算された.

次にコスト分析をした.PAに急速,緩速充電器を運用上1:5程度で設置するとした.現在のバス用を参考に計算し,コストは約2:1となった.総計€333万となった.これをDVと比較した.するとほとんどのシナリオで,DVと同等のコストで,EVが導入可能なことが示された.これはDVの燃料が高くランニングコストが高いためと分析された.またEVもバッテリーの品質により,交換時期の差異からコストにも差異が波及した.ただし品質とコストはやはりトレードオフである.なお想定期間は5年で,バッテリーの交換も考慮されている.

感想✪

非常にマッチングした論文があって非常に驚いた.厳しいと思っていたが案外行けそうな結果になっていて意外だった.個人的にはLCC分析という点もよかった.参考文献に類似も示されていたのでそれも読もうと思う.

 

クリーンエネルギー自動車の国内ポートフォリオ最適化

有森 揚祐,中野 冠

日本機械学会論文集(C 編)78 巻 791 号 (2012-7)

内容

EVなど様々なクリーンエネルギー自動車CEVの導入について,CO2排出量の削減と経済性を包括的に考慮して,ベストバランスとなるポートフォリオを求めることを目的としている.既往の研究において同様のものは行われてきたが,そこでは自動車のみしか検討されていなかった.そこでトラック,バスを含めたことを新規性としている.

問題は複雑なので,国が目標を示している2030年までにCO2を80%へというものを目標とし,そこへ向けて最も経済合理的な解を制約法の最適化問題として解いている.なお他には石油依存度も検討している.また内部において,多くは加重平均をとっているものの,車両の更新や各種ステーション施設費,燃料費,燃費の向上などを簡単な推計をし,モデルに組み込んでいる.またこのコストとは,車両コスト,燃料コスト,インフラコストとしている.他の保険や開発のコストについては含まれていない.

車種として,GV,DV,HEV,DHV,NGV,FCV,EVを検討している.またシナリオとして,2030年までにこのまま.CO2Free,-37.5%~45%(2.5%毎)を設定した.

結果として,バスはいずれもDVがほぼすべてを占め,費用対効果のためとしている.普通の自動車は,強いシナリオでCEVが40%余りとなった.トラックは,GVが10%,DVが40~30%,そのほかが50~60%となった.そのほかは,強いシナリオほどHGVからDHVとなっていた.ただしここで,トラックはひとまとめにされており,車種の分類は一切ない.

全体として,トラックの交通量などが多いことから,これらの貢献が全体としては大きくなっていると考察している.またEVは自動車には普及するものの,トラックには難しく,DVなどで対応されるだろうという結果になった.ただしエネルギーミックスは,エネルギー基本計画2010(火力2%(2030))を前提としているため,EVに有利だろうと述べている.まとめとして,このままの投資を適切に行えば,CO2と石油依存度の削減目標は達成できるだろうとしている.

感想△

推計なども行い詳細な検討を行っているが,現在の状態に基づいた推計であり,より不確実な長期的な検討は,この検討では不十分なように感じた.また2012であり,急で対応できなかったのだろうが,火力2%に基づいてEVについて試算するというのは無理がすぎる.トラックも車種に応じ特性は大きく異なり,細かく検討されていないのは残念だった.

 

EVバス,トラックの普及拡大を可能とする大型車用EVシステムの技術開発と実証評価

松田俊郎,宮崎信也,福沢達弘,水越篤志,辻俊孝,阿部圭太,井部精治,原勇太朗,田中颯

自動車技術開論文集2019年50巻5号p.1319-1324

内容

遅れているトラック・バスのEV化について,国家プロジェクトが行われており,その技術開発の報告となっている.結果として,現在のDVの1000万円増でEV導入が実現可能な目途が立ったことが示された.

まず路線バスの走行特性のデータを収集し,必要なスペック・部品について検討している.加速の最大出力は170kWだったため,モータは190kWを設計値とした.航続距離と入庫時間から,バッテリー容量は120kWhとした.ここで新規の部品はコストの増加が見込まれるため,原則として既存の製品の利活用を考えている.このバッテリーは床下に搭載可能な大きさで,また1つ30kWhのパックで構成される.またバス転用のため高出力が可能な機構と,各パックから調整する機構を備えた.モータは既存EVのものを2つ連結するものとした.また信頼性・安全性のためのフェイルセーフの装置なども備えられた.

また熊本において,実際のテスト走行を長期的に行い,その走行データの分析と運転手・利用者のアンケートをまとめている.期間は約1年で16582km走行し,運転手は57名が運転した.

実際の走行に際しては,高出力のモータにより,常に4速での走行が可能なことが示された.またモータによる回生によって,ブレーキ操作がほぼ不要となった.これらにより,運転が簡単になり,乗り心地(変速ショック・音・振動)も向上し,アンケート結果は概ね好評だった.だが充電は手間となっており,課題として残された.ただし冷暖房を考慮しても,バッテリーの容量や充電時間の問題は顕在化しなかった.特に容量については,事前の試算から3/4パックで運用され,充電率SOCは最低でも20%であり,なんら問題はなかった.単純計算の電費は,0.903km/kWhだった.そこから原単位は,0.68lg-CO2/kmと計算された.

感想〇

タイトルにトラックとあったのでその記述を期待したが,実際はバスしか言及されていなかったのが非常に残念だった.またそこからトラックに話を移しているが,長距離トラックとは走行特性が乖離しており,ぶっちゃけその点はあまり参考にならなそうだった.しかし回生などの詳細では,参考になる部分もあったと思う.

 

商品価格と流動ロットに着目した都市間貨物輸送機関分担モデル

家田仁,佐野可寸志,小林伸司

土木学会論文集No.548/IV-33,1-10,1996.10

内容

近年,トラック輸送は端末輸送のみならず幹線輸送も担うようになり,基盤が整備されてきている.そこで本研究では,これらの効果の予測,評価への応用を念頭に,商品価格と流動ロットに着目した都市間貨物輸送機関分担モデルを構築している.選択対象や品目の限定や普遍性,経済合理性がトレードオフとなる既往の研究の課題の解決を試みた.

分析に際し,データには全国貨物純流動調査を用い,品目分類はこれと同様の8種とした.なお多くはそのまま用いられなかったため,随時推定などで補正された.またモードはトンキロの大きな営業トラック,鉄道,海運とした.品目の価格に応じた在庫費用などを組み込んだ.モデルは,荷送人の利潤最大化行動を集計ロジットモデルで再現した.また効用関数には確率項を設けた.なお商品価格と流動ロットは内生的に扱われた.ここで流動ロットとは,1回の取引のまとまった量を表す.商品価格には確率密度関数を定義し,乱数で与えた.これにロットの量を乗じ,流動量を出し,燃料なども考慮した.また在庫費用は価格に貨物量をかけた.そしてロットサイズを最適にして,費用最小のモードを選ぶものとした.

集計モデルとして,作成したモデルの未知数を求めるために繰り返し処理で推定した.ここでe,v,μ,σは商品価格の正規分布/対数正規の平均,分散,sは在庫費用の比例定数,θ1,2,3は運賃,時間,それ以外を表したパラメータである.Rはロットとコストの相関係数である.考察として,eについて純流調査と比較すると金属・化学などで推定値が過大,v,sが一部非現実的,θ1,2が負となるべきところが正となった.そこでモデルの構成が悪かったためと考察し,再推定した結果が表のとおりである.θ1など全体として改善が見られ,値も概ね納得できるものとなった.構築の方向性は間違っていなかっただろうとまとめている.また輸送モードごとでは,営業トラックが割高な数値になることなどが示された.

感想〇

古い論文でロジットモデルの黎明期だと思われるが,試行錯誤が見られ面白かった.だが基盤となる考えは参考になりそうだが,モデルの構成などは現代ではより厳密にできそうと思った.また参考となるデータにはミスなどが多く見られたようで大変そうだった.

 

内発的動機付けに基づいた高速道路運転行動の誘発

岡田直弥,竹内俊貴,谷川智洋,鳴海拓志,廣瀬通孝

The 31st Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2017.

内容

高速道路を走行するドライバに理想的な休憩行動を誘発するシステムを構築することを目的とした.これまで東西線などの混雑緩和でインセンティブを与える施策はいくつか行われてきた.しかしこれは外発的動機づけで,持続的効果やコストの問題がある.そこで報酬や強制などの外部要因によらない関心などにフォーカスした内発的動機づけでアプローチをした.具体的にはゲーミフィケーションというゲームの楽しさの応用の手法を用い,クエスト形式とした.これはODのICを始めに入力すると,混雑状況・予測(後の論文と似てカテゴリから求める)から最適なPA/SAでの休憩をクエストとして促す.例えば,「浜名湖 SAで15分休憩せよ!」これの達成に応じ,クリアポイントなどを与えた.

実装にあたり免許保有の被験者11名を集め,ゲームの設計のためのアンケートをした.まず従来方法の交通情報においてどこでどの程度休むか,次にソフトで最適とされた休憩をゲームの一貫で行うかを聞いた.またプライベート/ビジネス,PA/SA,休憩時間で比較した.すると従来手法(半分),ビジネス,PAでは休憩時間が短くなることが一部有意で差として示された.これにより状況に応じ最適であろう休憩時間が推計された.

東名の東京名古屋間の任意区間において,2カ月アプリ「東名クエスト」をプレスし実証実験を行った.サンプルサイズは17人で27トリップだった.なおアプリは予め設定する設計で,運転中の操作はもちろん必要なく,位置情報などは活用できる.この解析により,やはりプライベートでより効果的なことが示された(p<0.01).またSAの方が,p=0.01で休憩時間が長かった.総合的には最良の条件で,8割の休憩を促せることが示された.

今後は,アイテムなどの他のゲーミフィケーションによる休憩誘発効果を強化し,さらなる渋滞解消効果を定量的に分析するとまとめている.

感想〇

1枚目の論文もあって,EVでは休憩のタイミングがより重要になると思い読んだ.被験者はもう一声欲しかった.統計的処理は丁寧だったが,サンプルのバイアスが心配なところである.渋滞の要因は数とそのバラツキが大きなプライベートな乗用車が多いと思うので,効果には期待できそうだと思った.ただ実生活でゲームのような楽しさ・達成感を与えるのは難しそうだが,渋滞不効用をポジティブにできるのは期待したい.また8割に休憩を促せたとして,どの程度渋滞が低減されるかの簡単な効果の試算が欲しかった.

 

ボラティリティに着目した高速道路の非周期的変動の時系列分析

鈴木康平,佐々木邦

土木学会論文集D3(土木計画学) 2016 年 72 巻 5 号 p. I_1311-I_1319

内容

高速道路においては,費用便益分析における主要3便益に加え,災害時の代替道路のほか,時間信頼性が主要と言われ,それに関連する研究も見られる.特に近年では整備が進み,量や平均からバラツキが重要になっている.またデータが収集されるようになり,それが可能な基盤が整ってきている.そこで本研究では,周期的変動では説明できない変動の信頼性を,ETCをベースとしたH18からの過去6.5年分のデータから求めることを目的としている.

データは中央道の河口湖ICから八王子TB間の上りとした.ここは小仏トンネルを擁し富士観光なども多い区間である.またデータは30分ごとに区切られた.

時間信頼性とは,道路がある区間において,一定の所要時間を安定して提供できる能力で定義される.ここでは,特に所要時間データの,日・週の階差をとり,週・時間の周期的な所要時間の変動を取り除いた変動を時系列的な変動としてモデル化した.ボラティリティとはこれらで求まらないものとされる.既に所要時間のバラツキは,そのパーセンタイルの分布からPT,BT,PTI,BTIといった指標が提案されている.

非定常な時系列データに対して,各種の階差を取り定常過程とできる確率過程をARMA過程と言い過去の残差から求められ,GARCHモデルは時間により統計的性質が変化する分散不均一性を説明するモデルで,これらを順番に用いた.後者は金融でも用いられ,時間継続性が根拠の一端になっており,交通においても天候などの点から同様と推測して用いた.またいずれも確率項イノベーションがある.

結果,予想と同様,1日前と1週間前が大きくなった.なお決定係数はほとんど0.1未満だった.年度ごとでは,H21は全体的にボラティリティ(本文中のβ)が小さかった.H18は7~10月でボラティリティがやや大きい傾向で,ほかに10月中旬,12月中旬,2月下旬で得意的な値が見られた.10月中旬をさらに分析すると,はじめはボラティリティの徐々な拡大縮小が,その後は急激な変化が見られた.これらは要員の違いが考えられると考察されたが,具体的な言及はない.ただ所要時間について信頼性の低下が起きているだろうと述べている.また工事による影響は当然ながら前述のモデルでは推定できなかった.これはボラティリティにも表れ,分散分析からも明らかとなった.最後に全体を通し,平日に比べ休日の方が,変動が大きく不安定だった.

感想〇

モノとしては流行りのビックデータなので,今後こうした研究はより加速すると考えられ興味深い.天気予報では検討中だったと思うが,今後は推定の確率・不確実性を共有することも重要な社会にシフトすると考えられ,その点では非常に参考になると思う.