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高専から駅弁大学から東工大へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

ゼミ25:回生エネルギー

コンテナトレーラーの燃料消費特性の把握

村野昭人, 鈴木武

国土技術政策総合研究所資料No.109,(2003)

内容

環境に配慮した港湾施設計画に資するために行われた.まず先週と同様の式が示された.その中で転がり抵抗は,アスファルト舗装で良好で’0.01’,一般で0.015と示された.トラックの空気抵抗係数は0.4~0.6で,後述の実験では0.75とした.回転部分相当重量係数は乗用車の場合でトップが0.08,低速が0.7なことが記された.

そしてヘッドが6.6tの40t級トレーラにコンテナを牽引させ実験した.この前面面積は約7.1m2だった.実験は同じドライバーで短期間のものとし,東京湾周辺の物流地域の高速・一般道で行った.そして燃費計や速度計をデジタルデータとして収集した.

そして2分以上の停止を除去して,速度の分布を得た.これより一般道では1/4以上停止し,対して高速道では過半が80km/h以上だった.これより速度・積載量ごとの燃費を分析した.すると低速時は積載量の差異はあまり見られなかった.これは100km/h程度の高速時でも同様だった.また40~60km/hの中速域は高速道において燃費が悪かった.

そしてこの結果から燃費の推定式を求め,東京都のものなどの既往文献と比較した.すると中速域はいいものの,高速域で乖離が大きかった.これは原単位的手法の限界と指摘した.また積載量増で燃費は悪化するが,トンキロで考えれば,やはり積載率を高めるべきという点も確認された.また現実に厳密な推定は難しいので,よりマクロなデータで精度を上げる手法を試みた.まず得たデータを300sで分割した.瞬間速度と平均速度の見方の違いで経済速度が変わることも言及した.高速道のデータでは渋滞時も見られたが,あまり燃費の悪化はなかった.そのため惰力走行で,むしろ燃費を向上させられることが示唆された.

次に推定を行った.なお今回は対象がほぼ平坦だったため,勾配抵抗は考慮しない.そして仕事をベースに考えた.空気抵抗は一般の速度の自乗則を転用し,加速抵抗では減速分を除去した.そしてデータより,一般道では空気抵抗は小さく,中速域で加速抵抗がピークとなる傾向を得た.また高速では空気抵抗が.走行抵抗と同等まで増加した.そしてこの仕事量と消費燃料エネルギー量を推定し,R=0.90以上で良い結果を得た.これを要素ごとに分割していき各係数を算出した.今回は走行特性ごとに違いが見られたため,一般道・高速(混雑/流動)でそれぞれ推定した.そして実燃費と推定燃費をR=0.87で示せた.

まとめとして,研修で2割程度向上すると言われているため,この重要性を説いた.また各要素は比較的簡単な式で表せた.またさらなるCO2排出削減努力を課題に挙げた.

感想◎

各要素を分けて考えられていたのでよかった.また日本のトラックの生のデータが多くあった点もよかった.

電気モータを用いたG-Vectoring 制御のエネルギ回生効果

横山 篤, 山門 誠

自動車技術会論文集2013 年 44 巻 4 号 p. 1027-1032

内容

前頁で回生について疑問になったのでこの関連を読んだ.筆者らは車両の横運動の加減速を制御するG-Vectoringを提案してきており,EVを検討するとその際に回生が見込める.これは横運動時に各成分の加速度を調整し,走行安定性向上を目的としたシステムである.そこで回生効果を定式化し,またその走行特性から必要なモータの性能を導入するとした.

まず質点モデルで解析による導出を行った.ここでも上記の論文と同様に走行抵抗を考慮し,その積分からのエネルギー変化からの速度差を求め,そこから回生エネルギーを求めた.

mは車重,Cは制御ゲイン,G_yは横加速度,Rは旋回半径,ηは効率の係数である.さらにこれを道路構造令に落とし込むため,曲線の設計速度やクロソイドのパラメータを反映した.速度差については,理論より走行軌跡に依存せずゲインと横加速度の積による.そしてモータ出力の式を,ゲインの5次式で導出した.

さらにこの各式の確認のため,解析と実験を行った.車重は1300kgでゲインを0.5とし,R=50mを横加速度3m/s/sで通過する際は25.3kJの回生エネルギーが得られた.また解析で各項の占める割合を確認し,近似を提案した(上式右側).またモータ出力の解析結果も考察を加えることで近似し,制御の設計で影響を定量的に把握できるとした.

さらに実験で補強を試みた.前述と同様の普通車(≒HEV)で行った.すると回生エネルギーは理論値の1割小さな値,最大モータ出力は2割小さな値となった.これは主にηを1.0と置いたためだとうとし,結果より0.85が妥当と考察した.また理論上の走行軌跡と実際との誤差の影響も推測された.また今回はタイヤの横滑りのような損失を考慮していない.この点を今後の課題として考慮することにより,精度の向上が期待できるとした.

感想○

理論的に解かれ,実験にも基づきよかった.式はR=∞などで応用できそうと思ったが,簡単に近似もできなそうなので,相性として参考にとどまりそうな点はやや残念だった.またシャシダイナモ試験では曲がる損失を考慮できていないのが問題だと気付いた.

回生エネルギ取得量の増大がハイブリッドトラックの燃費性能および排出ガス特性に与える影響

奥井 伸宜, 小林 雅行

自動車技術会論文集2015 年 46 巻 3 号 p. 627-632

内容

リアルタイムにパワートレインの性能評価が可能なシステムにおいて,エンジンは実機を,モータなどその他はモデルを用いたハイブリッドシステムを構築して,既往の制御方法や減速時の特性を調査した.エンジンは4.7L直列4気筒ディーゼル,モータは出力118kW,バッテリーは2kWhのものを用いた.この試験車の中型トラックに50%まで積載し,JC05の走行パターンを与えて実験を行い,各数値を計測した.またパワートレインシステムは,A:市販の同様のエンジンとモータが同程度のもの,B:ハイブリッド黎明期のもの,C:エンジンを最高効率にするようモータで補助するシステムの3種を検討した.また回生は可能な閾値を15,3km/hのそれぞれで与えた.低速時は難しいとされつつも技術の革新が進んでいる.また電気収支は0とし,すなわち充電は行われておらず,回生の電気エネルギーが利用される形になる.

結果より,回生・燃費については走行特性によらずICE<B<A<Cとなった.回生の速度については低くすることで平均で,回生を14.7%,燃費を3.1%改善した.Cはギア比の調整が不利になったものの,それを上回るエンジンの高効率化により,26%も燃費が向上した.またこれと同様にエンジンの負担が軽減されたことが,排ガスの熱から示唆された.しかし排出量はICE=C<A<Bだった.Cではエンジンが低回転・高トルク領域に分布したためだと考察した.NOxも同様だった.対してCOはICE>B>C>Aで低減した.これらの差異は処理装置の効果やエンジン動作点の違いが表れたためだと分析した.特にCにおいては,条件をつけたためエンジン過渡期に燃焼室内の酸欠が要因の1つと考察された.これらのまとめとして,回生によりエンジンアウトでは排出量の改善が見られたが,テールアウトでは処理装置の触媒温度とのミスマッチにより効率が悪化し期待する効果が得られなかったとした.

感想○

中型トラックに絞られていた点は非常によかった.JC05は気がかりだが,実験などにも基づくため概ね評価できる.回生について期待したが,割合に留まり式のような形でなかったのは残念だった.そしてHEVも効率はいいが,排出を必ずしも抑えられない点において,純EV導入の強力な根拠の1つに期待できると思う.一方,HEVの推進派の立場に立てば,価格は依然として優位で触媒温度の調整が鍵と言えるだろう.

New evaluation methodology of regenerative braking contribution to energy efficiency improvement of electric vehicles

Chengqun Qiuab, Guolin Wanga

Energy Conversion and Management, Volume 119, 1 July 2016, Pages 389-398

内容

まず,回生はRBS(:Regenerative braking system)と表され,蓄電以外にも大型車の油圧ブレーキもあることが紹介された.そしてこの効率とブレーキの快適性には,高度な制御戦略が必要である.そしてRBSのトピックとしてシステム設計,混合制御,効率化という主要トピックが示された.また市場ではメーカから既に商品化された.しかしRBSあるいは他のブレーキまでのスケールに留まり,車両レベルのエネルギー効率化の評価の研究は少ない.そこで効率化の寄与の評価を,本研究の目的とした.対象はLEAFのような普通車である.

まず上記と同様の仕事の式E*が示された.これに減速時のエネルギーを変換させることで求められるとして簡単に定式化ΔEでした.そして各変換時の係数をηで与え,Eの比からσに係数をまとめた.しかし実際のエネルギーフローは観測が難しく,推定もし難い.ΔEはその後の定式化で,油圧ブレーキでE0と同等となり,これは前後輪の抵抗と回生Erで構成される.E0とErで回生の寄与率を定義した.また各ηも厳密に定義した.

しかし推定は難しく,中国のCTCRDC規格に基づく路上テストを実施した.また3パターンを用意し,ベース,既存への簡単な追加,回生の最大限の利用とした.図は後者での変化を表す.前者に比べ,変化が時間に対して緩やかになり,傾きの変化がよりはっきりした.そして試験1減速サイクルにおいて,累積回生エネルギーは0.21,0.24,0.27kWh,寄与率は0.27,0.30,0.32となった.したがって一般に回生エネルギーは18.3,17.2,16.4kWh/100kmと推定された.

また詳細は省くがηもそれぞれ算出した.指標により速度依存のある/なしも見られた.これより最終的なブレーキでの回生の寄与率は32.4,35.6,41.1%となった.

f:id:pytho:20191224001618p:plain

感想◎

寄与率はかなり幅があるが,大きな改善が見られ良かった.また大型車では影響が大きくなることが予想され同様の傾向か気になる.走行試験はサイクルの図によればかなり単調な試験になっている.またエアコンを切り80km/h以下のため,JC08のように実際との差異の懸念がある.

Smart cities: Utopia or neoliberal ideology?

Giuseppe Grossia, Daniela Pianezzi, Cities Volume 69, September 2017, Pages 79-85

内容

専門の都市と絡んだ論文を選んだ.ここではその中でも特にスマートシティに着目した.そもそもこの定義が曖昧で,達成度が不明確な点をまず指摘した.ただITが中心となり,環境や老朽化といった社会問題に対応する点を共有した.また既往研究の「neoliberalization」批判による社会の分断の示唆を紹介した.本研究では,ジェノバの例で理論的なエビデンスを支え,スマートシティのビジョンの支える特徴やアイデアの明確化を目的とした.

まず申命記・黙示録に言及し,Utopiaが人の行動と願望を導く想像上のものと紹介した.以降は各論文の思想を紹介した.1516年トーマス・モアは,調和的な都市システムの理想的なシステムとして“Utopia”を用いた.プラトンも同様の考えとする考察もある.またブロッホは1995年抽象的/具体的で区別した.後者は社会革命に関連したプロジェクトとした.そして近年では,殊更具体化されたスマートシティに用いられる.一方,批判者からはその願望と現実の矛盾に用いられる.これにより問題から目をそらさせ,断絶させるものとの批判もある.ただ強権的な統制のイデオロギーと固定された道徳観のUtopiaの矛盾に弁証法が成り立つとする考えもあり,Utopiaが新時代主義的現代イデオロギーの側面と示唆される.またこの複雑な新時代観が,過去の理想論と同様に弁証法と成り得る.特に80年代サッチャーらは,都市問題に経営主義でコスト観を導入した.またその中でコスト主義と民間の市場参入が促された.これによりパラダイムの根底が,協力して管理するものへシフトされ,新たなガバナンスの普及につながった.また実際に欧州では,権力の集中が発生し,民主主義から離れ,また緊縮財政により利潤追求に依存するリスクが指摘された.そのためこのイデオロギーに対し,公共的な施策の導入が急務と指摘された.

そしてコミュニケーションの言語を通して行う批判的な解釈学を方法に用いた.そこで様々な文献などを参照した.対象地のジェノバではGSCAが作られ,多くが中小をはじめとした企業で構成され,投資の責任も負った.これはイデオロギーの典型で,自治体はネットワークの調整役のようになり,環境における役割も不明確になった.またこれにより競争が助長され,無秩序開発により被災の拡大に繋がった懸念がある.またこれらを受け,対策としてデバイスが配布された.しかし前述と同様に技術に依存し,貧弱な都市では真似できない.そのため本質的な問題から目をそらしていると指摘した.また派手であるため,長期的な都市計画ベースの広範なアプローチの弊害も懸念された.さらに公共の説明責任として,GSCAで認められない構造的なメカニズムの課題も指摘した.

感想◎

都市の発展・計画におけるイデオロギーの影響はあまり考えてこなかったので刺激的だった.書かれたことは概ね納得できる.特に最近は起業であってもESGやCSRが重視され,スマートシティや行政のみならず民間でもさらに新たなイデオロギーに突入しているかもしれないと思った.

電費の試算

車重を従属変数にして各指標を算出.他の条件として,式(各係数含む)は前回分参照,燃費試験方法はWLTP(class3)とした.そのため試験時間ごとにループで走行抵抗を算出した.また車重は30t(ペイロード100%(安全側))+電池重量ベースで,電池重量は既存LCVの740kgと既往研究の値4800,6640kgを参考に,中間の3000kgを独自に追加した.cap.は試験走行に消費する(必要な)エネルギーで,その試験距離から電費econ.を計算した.回生が含まれていなかったので,独自に今日読んだ中国の回生率の41.1%の回収も含めた.cap.*は推定値で電池重量から比例勾配で与えた.これとcap.の比からSoCが0.8で航続距離dist.を算出した.

データを総合的に勘案すると,基準としては3000kg程度が無難と考えられる.

 

 

 

740

3000

4800

6640

W=30t(100%)

cap. /kWh

68.56

72.86

76.30

79.81

econ./km/kWh

0.42

0.39

0.38

0.36

dist./km

35.40

135.03

206.33

272.88

cap.*/kWh

104.34

423

676.8

936.24

vol.*/m3

0.91

3.71

5.93

8.21

price**/¥10^4

17.07

69.23

110.76

153.23

W=15t(100%)

cap. /kWh

38.17

42.48

45.92

49.42

econ./km/kWh

0.76

0.68

0.63

0.58

dist./km

63.57

231.58

342.84

440.61

 

*はLEAFの性能を原単位として換算,**は同様にテスラの値(\61100/kWh)を使用.