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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

ゼミ27:WtW of WtW

Fuel choices for fuel-cell vehicles: well-to-wheels energy and emission impacts

Michael Wang

Journal of Power Sources Volume 112, Issue 1, 24 October 2002, Pages 307-321

内容

FCVのWtW分析を北米で行うことを目的とした.確率的シミュレーションであるGREETモデルを紹介し,本論文で使用した.

この研究ではベースのICE,HEV(CNG),FCVで比較した.そしてWtWとして水素の製造(化石系,電力平均・RES)・輸送(ガス・液化・パイプライン)を分類し18ケース用意した.ここでは天然ガスをパイプライン輸送し,ステーションで水素製造するものも考えられた.さらにナフサやバイオエタノールも検討した.

まずWtPで製油所の効率のモデルのエネルギー効率のパラメータを確認し,ガソリン重視のため欧州比で劣ることを確認した.また液化について保存がしにくいため航続距離は伸びるものの効率が悪化するとした.PVによる水素はその場で製造され輸送されるとした.このためPVのみ電力の輸送損失は0とした.

PtWは燃費を仮定した.ICEについては既存の予測モデルが良いのでそれを用いた.EVは初期段階なため既往文献を参考に,以前と同様の燃費シミュレーションなどが用いられた.分類を行いHEV,FCVは概ねICEの1.5~2倍程度の燃費で,純FCVは2.5倍ほどで群を抜いていた.そしてICEを参考にワイブル分布でGREETモデルに入力した.

まずWtPの結果は,化石燃料類は燃費が同等を保てるという仮定の下,効率の改善が見られたが,FCVはいずれも悪化した.そしてWtWでの総エネルギー使用量ICEとの比である.LC全体で見ればHEV,FCVによって大きな改善が見られた.これはCO2排出や原油の使用量も概ね同様だった.特にPVではほぼ100%を指した.また液化が不利で効率的なFCVも水素の輸送によって相殺されてしまう点が明らかとなった.

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感想◎

GREETモデルは,非常に有用でテーマにも近いプラットフォームなモデルなので触ってみようと思う.また執筆のためにその中身についても把握すべきと思う.ただコストの概算がなさそうなのは残念だった.またいい論文だったが,これも乗用車のみだったのも残念だった.

Life cycle cost analysis to examine the economical feasibility of hydrogen as an alternative fuel

Ji-Yong Lee, Moosang Yoo, Kyounghoon Cha, Tae Won Lim, Tak Hur

International Journal of Hydrogen Energy Volume 34, Issue 10, May 2009, Pages 4243-4255

内容

韓国は日本と同様に資源に乏しく,本研究では輸送機関のエネルギー源としての水素の実現可能性をLCC分析した.そして市場への影響を予測し戦略考案を見込んだ.そこで原料の調達,処理,輸送,利用の各フェーズで分析した.車両はヒュンダイSUVを考えた.

水素の経路は,ナフサが湾岸の工場からローリー輸送,天然ガスがパイプライン,電気分解が各地で分解が行われるなどと仮定した.WtWでLCCを行い,さらに環境を考慮した社会的費用を加えた.データは省庁やアンケートで収集した.運用費や管理費を定式化し,先のデータを用いて計算した.なお社会的費用は文献で差異が大きかったので各統計値をとった.そして化石燃料費は過去10年の移動平均を参考に推定した.車両の寿命は16万kmとした.ここでは2015には市場が拡大し価格が減少していくとした.これをベースに各燃料で2種のシナリオ分析を行った.

図のようにTtWの結果は,既存のガソリンを単純価格で下回るのはナフサ改質のみだった.輸送について,SはStation(分散),CはCube Trailer(集中)を示す.

他は水素の輸送インフラのコストの高さが障害となった.また水分解もエネルギーの必要量がネックと考察された.エネルギー効率は高かったが価格の高さが確認された.そこでCNGと同様の政策について言及した.また社会的費用を大きく考慮すればRESによるFCVが有利となった.別個に税優遇やさらなる先物価格の変化のリスクも言及した.その点NG由来も直近では比較的有利だった.燃費の影響は軽微だった.

インフラの規模の経済をDOEの研究を参考に推定した.30%の低減で競争力が生まれるだろうと分析された.

 

感想○

あまりない価格について検討されていたのはよかった.また状況が日本と似ているのも面白い.しかし2015年に対し,楽観的過ぎたきらいがあると思う.

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日記

過去に大和の懸賞論文の応募を検討し今日が締め切り日なのだが,調査兵団よろしく特に何の成果も得られておらず,なけなしの調査文献まとめしか書けなそうで時間もないので今回は諦め.第一回とのことなので次回や別の懸賞論文に期待・準備したいところ.