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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

やってはいけない破壊パターン

不謹慎ながらとてもキャッチ―な事故の映像が見られたので,これを紹介しつつ破壊に関する勉強について簡単に紹介したいと思う.

news.tv-asahi.co.jp

まずやってはいけない破壊の例として上の記事.

まず破壊は脆性的なものと靭性的なものに大別される.上のものは前者で,ニュースで出てくるものの多くが脆性的なもの.これには理由があって脆性的なものは絵になるからマスゴミが大好きというわけ.

そしてなぜ脆性的なものと靭性的なものに分けられるかというとエネルギーの解放の仕方にある.破壊というのは基本的にエネルギーが溜まって爆発するようにして起きる.この爆発において一瞬で派手に進むものが脆性的なもので,ガス抜きをしながらゆっくり進行するのが靭性的なものだ.前者は同じエネルギー量でも被害が大きくなりやすく特に敬遠されている.そのため様々な方策がとられている.

代表例が鉄筋コンクリートだ.コンクリートは材料の特性として,脆性的な破壊をしやすい.これを鉄筋が補強することで避けている.終局的なエネルギーは鉄筋が担当する.これを合理的に行ったものが限界状態設計法(Limitted State Design)と呼ばれる.これにより日本では,こうした破壊は滅多に見られないようになった.ただコンクリートも闇雲に鉄筋を入れればいいわけではない.コストが増加するためだ.

さらに材料以外に構造としての注意点もある.曲げ先行という考え方だ.破壊にも圧縮・引張,せん断,曲げ,ねじりと種類がある.その中でも支配的で,かつ人間によるコントロールのしやすい曲げが選ばれている.ここでしばしば対立するのがせん断だ.応力面に対する平行な応力として定義され難しいので詳細は割愛する.このせん断が脆性的な破壊を起こす.そのため曲げよりもせん断を強くして,先に曲げで破壊を起こさせることにより,脆性的な破壊を避けている.これは阪神淡路大震災での破壊の多さにより,より注目されるようになった.

結果的にかなり土木の材料・構造的な専門的な話によってしまったが,このように破壊でも避けなければならない形式があり,そのための設計などが努められている.

またいずれもいわばエネルギーに起因し,その過程で変位としてのひずみが観測される.そのため土工工事などでは特に注意されている.これにより博多の陥没事故は大事を免れた実績がある.