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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

テレワークの是非

テレワークの是非という今回のテーマは,来年度に就職を控える私にとっても重要だ.

これまでの大学での研究生活においては,解析系で実験のための通学の必要性が低く,さらに扱うデータについても機密性が比較的低く,テレワーク的環境に恵まれた.

比してコンクリート系や生物系の友人の研究室の閉じこもりっぷりを見るに,実験で進捗がある程度保障されていることが羨ましい一方,大変そうだと思っていた.

それゆえこれまでは一貫してテレワークに肯定的な立場だった.これは通勤混雑の酷さや時間損失的な観点も含まれている.

しかし今回のコロナ騒動によるテレワークの急伸とその対応から,妄信的信仰からたたき起こされた.

セキュリティ

まずはセキュリティだ.Zoomも一時的に大きな潮流となった.ただこれは個人的に過剰反応だったように思う.確かに重要な案件・会議で用いるのは難しいだろうが,日常的なチームのコミュニケーションが脅かされるようなレベルではないだろう.この点はZoomに限らず社内のファイル管理やVPNも同等に扱われるべきではないだろうか.さらに言うなら,同一のメールアドレス同士でパスワード付きファイルとパスワードを分けることが続いていることも謎だ.確かに余談として,進路調査票でやらかしてこのセーフティネットとしての意義を理解していないこともないが.

pytho.hatenablog.com

構造的問題:UI・UX

次にZoomの構造的欠陥とも言える問題がある.詳細は以下の記事に詳しい.

 

「そうした非言語的な手がかりに強く依存している人にとって、それが見られないというのは大きな消耗につながります」と、フランクリン氏は言う。

「ズーム疲れ」はなぜ? 大きな負担、脳にかかる|ナショジオ|NIKKEI STYLE

記事は外国のものが一次ソースなので日本には比してそぐわない面はあるかもしれない.というのも日本人は表情や体でのコミュニケ―ションが少ないからだ.ただ新たなコミュニケーション手段への急速な環境の変化のストレスは非常に大きいと言わざるを得ない.これは行動経済学的課題と感じられる.あるいは人間工学・心理学的とも言える.そのため根本的な設計を含め,改良しなければ今後も積極的に利用していくことは少々無理があるのではないだろうか.

この問題はZoomに限らずあらゆるオンラインプラットフォームに当てはまるだろう.例えば萌芽の生えるバーチャル空間だ.本ブログで何度か挙げているVtuberやバーチャルな肉体は今後5~10年程度で非常に身近に成り得る.これは例えば以下の動画に詳しい.

www.youtube.com

いつも流れであれば,彼の話を半ば妄信的に伝えるところだが,懸念点も多い.私のここでの論旨としては,バーチャル化の流れの力強さは認めるところだが,基本設計や環境が人間ベースになっていなければ難しいということである.これが前述した行動経済学や人間工学的な部分にコミットする.例えば数年前にブームになったVRだが,現状そこまで世間一般に普及しておらず,あくまで娯楽の1つに留まってしまっている.これとZoomを組み合わせて,現実に近い会議を創出できる可能性はある.現状の娯楽と見方が一転するがブルーオーシャンで市場の可能性も明るい.こうした相乗効果・掛け算の検討が非常に重要だろう.これ次第でどちらにも転びうるというのが私の考えだ.

伝統的文化:人事評価・給与体系

また伝統的文化のパラダイムシフトも重要だ.ハンコは一刻も早く電子署名に転化すべきだろう.そして難しいのが人事評価だ.給料にも関わり非常にセンシティブな話題だ.ただテレワークを積極的に行うにあたって改革は必至だ.そこで成果主義への移行が力強いものとなるだろう.例えば以下の記事が参考になる.

■「コロナ」長引けば制度見直しも

給料の決まる仕組みとその背景を理解しなければ、いつの間にか自分に対する会社の評価が厳しくなり、給料が下がりやすい仕組みになっていても気づかないといったことになりかねません。それは労使関係の観点からは非常に危険なことでもあります。平時は給料の仕組みを変えることは難しいですが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の制約が長引けば、賃金制度を見直す企業も出てくる可能性があります。変化の激しい時代を生き抜くため、「給料リテラシー」の向上は不可欠になってきます。

日本の給料はガラパゴス? 働き方の専門家に聞こう :日本経済新聞

新型コロナ:在宅勤務、報酬体系見直し カルビーは成果主義 :日本経済新聞

ただこれにはそもそも双方の給与体系に関する研究が求められる.ガバナンスが重視される中,社員全員にそのリテラシも求めるべきだ.するとフットワークも重くなり難しい.根強い反対もあるだろう,特に窓際族は.

ただ困難を経て目先の成果を重視するものに移るべきだと私は考える.日本的ポテンシャル評価も,特に長期的なプロジェクトにおいて評価できるものだが,複雑で不透明で今後にそぐわないのではないだろうか.

テレワーク的環境にあった身から,今後NewNormalたり得るか考察した.

概してセキュリティや給与体系については,まずリテラシの向上が必要だ.ただこれについては一般学生である私が社会人に比べ殊更低いのかもしれない.その上で今後の方向性を前向きに検討すべきだ.また利用するプラットフォームは当然ながら便利でなければならない.単純な機能だけでなく,意識的に自然なデザインでなければならない.

評価についてさらに言うならば,長期的な展望において,AIの台頭によって勤労の”義務”は崩壊するだろう.ゆえに仕事においてより成果が求められ,それにより成果主義が進むのではないだろうか.

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