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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

研究トピック:水素

ここのところ学会の原稿をやりつつ,内定式があったりと忙しく投稿できていなかった.以下も行きたかったのだが行けずだったので,レポートが出ているので参考にしたい.

持続可能性を考慮したサプライチェーン構築 | 一般財団法人 運輸総合研究所

なんとなくゼミと関連しそうだけど微妙せず,ゼミでの紹介を見送ったようなテーマを簡単に紹介したい.というか結局アカデミックにやるなら,論文とかきちんとしたソース読まなきゃだし.

NEDO、発電効率68%を実現する1400℃級「水素発電システム」開発へ | ニュース | 環境ビジネスオンライン

燃料電池車関連で燃料となる水素についての情報を集めている.水素の利用は前述の燃料電池が先行しているイメージだが,水素の燃焼による発電も検討されていた.上記記事はかなり高効率な燃焼方式の発電のシステムの目処が立ったことを示すようだ.

ただ水素自体の燃焼はいいかもしれないが,その水素を作る過程の課題が大きいので,実用化や普及は難しいのではないだろうか.

水素の実用化は現在でも難しく,日本ではTOYOTAのMIRAIなどに限られるが,世界的にはもう少し進んでいる.アメリカカリフォルニアにはステーションが整備されていたりする.そしてニコラ・テスラに因んだNikolaは,FCVの大型トラックの実用化を企図していた.それにおいて,主に技術とガソリンスタンドに代わる補給インフラの整備が課題な中,前者の問題・課題が最近顕在化した.誇大広告問題だ.大手GMとの協力の発表の後だったため,より印象深くなった印象だ.詐欺行為は許容できないものの,インフラ普及はHPを見る限りかなり精力的に行われていた.大型トラックはバッテリー式のEVでは技術的課題も多い.そこでFCVはダークホースなりうる.ゆえにNikolaには今後の改善に期待したい.ちなみに日本でも,FCVのトラックについて,トヨタとヒノの強度開発が進んでいるようだ.

ニコラがテスラになれない理由:日経ビジネス電子版

水素社会へ加速する欧州 道筋描けず遅れる日本 :日本経済新聞

同様の新燃料転換はEUをはじめとした規制の強化により,日に日に増している.海運はトラックと比べてかなり高効率なので,比較的見逃されてきた印象があったが,転換の検討は進んでいるようだ.

海運もゼロエミッション、燃料電池で動く「日本初」の船舶が2024年竣工 (1/3) - MONOist(モノイスト)

ちなみに航空は燃費がかなり悪いため,環境問題からの風当たりは強い.ただ機体の重量もピーキーなので,経済性を考慮すると大きな課題感があった.ただ水素については,物理的に軽い上,エネルギーポテンシャルも高いので,こちらもまた注目されているようだ.

水素はエネルギーを放出する燃焼反応において,排出が水のみで排気ガスがなくクリーンなため,環境配慮へ好相性だ.しかし水素は天然資源ではないので,化学反応を以て生産しなければならない.メジャーなのは,水の電気分解や,LNGの改質だ.しかし前者は生産自体に大きなエネルギーが必要になる.後者は化石燃料に由来している.そのためライフサイクルで見ると,環境への疑問が残ってしまう問題がある.そこで再生可能エネルギーに注目できる.水分解であっても,ソースが再エネならば,完全クリーンだ.また再エネは天候依存などから発電が不安定という弱点があり,系統へ組み込むことにリスクが伴う.そのため蓄電池の利用も進むが,水素としての保存も検討できる.さらにこれを冒頭の高効率発電と組み合わせることも検討できる.ただ効率の問題から,短期的変動は蓄電池,長期的変動は水素となりそうだ.あるいは地域差を埋める手法としての検討もある.これは地域間のほか,化石燃料に代わる新たなエネルギー貿易の萌芽を迎えている感がある.

Renewable Energy = 22.2% of US Electricity in 1st Half of 2020 (Charts)