久しぶりにニュースに出ているネタについて記そうと思う.
今話題の菅総理による日本学術会議の会員の任命拒否のテーマだ.
といってもこのネタは既に機を逸している感もある.
当初はメディア主導に沿ってか,ソーシャルメディア上でも菅総理による強権・暴走という見方が強かった印象だ.しかし実態が見えてくると,この状況に懐疑的な見方が強まった.菅総理の説明が不十分な感は否めないものの,任命された会員らの人事自体が不可解なためだ.
論調としては以下のような感じだ.
日本学術会議が拒否された6人について「拒否した理由を明らかにせよ」と主張しているが、それを言うならまず、全国80万人の学者の中から210人を選んだ基準と推薦理由を明らかにすべき。仲間内でこそこそやっているのでないなら、言えるだろう。
— 加藤清隆(文化人放送局MC) (@jda1BekUDve1ccx) 2020年10月7日
菅義偉首相の日本学術会議会員6名任命拒否問題の本質をなぜ誰も語らないのか? - 桂秀光(カツラヒデミツ) | 選挙ドットコム
改めてまとめるまでもないが,日本学術会議という組織における代表的な人事として,経歴:研究歴が不足していることが明らかになってしまった.論文というものは基本的にオープンなので,ネット上で著者の名前を検索すればヒットする.モノによってはタイトルのみで,内容は有料の場合もしばしばだが.ちなみに私の指導教員は66件ヒットした.
一方で話題の人らは,そうした本物の研究者と比べると,こうした経歴が弱いというわけだ.研究活動よりも利権の政治に勤しんだと見える.またこうした不可解な人事が,既得権益的で不健全なわけだ.菅総理はそうした明言は意図的に避けていると見えるが,結果的に氷解・顕在化した.
ただインテリ層でも見方は二分されているようだ.個人的には今回の件で政権側を評価したいところだが,説明責任は必要だろう.
科学誌「ネイチャー」 日本学術会議の任命見送り 社説に掲載 | 日本学術会議 | NHKニュース
さらに上記記事では米英の学術団体について言及されている.日本語化された王立協会という言い方がダサすぎるが,当該のRoyal Societyは昨年の留学で訪れた.
1年前なので忘れてしまったところも正直多いが,確かに非常に中立的で独立的だった印象は強い.改めて留学時のノートを見返すいい機会になる.
日本では博士号の力も弱いが,そういった研究力・学力軽視が顕在化した一例のようにも見れるかもしれない.ただ一方で,自身がそれほどの研究を行えているかと問われれば言葉につまってしまうのが正直なところだ.
このあたりは以下の学長の書籍などにも詳しい.
そうして網羅的に考えてみると,菅新政権への期待は膨らむ.新たなポストについた河野氏も精力的に活動しているようだ.地銀再編への指摘も,不良債権処理から目をそらさない言質と見れる.
ただ不安も少しある.外交面は安倍前総理と比べると弱そうにも感じられてしまう.コロナで直接の会談も難しいだろう.携帯の料金値下げも,郵政民営化の果てにかんぽ問題が発生したように,現場にしわ寄せがいって却って不健全・不良債権化することへ注視すべきだろう.
またベーシックインカムBI導入議論で話題になった竹中平蔵の動きにも注意が必要だろう.
個人的にはこれまで以下に記述するように,MMTの財源を主として(U)BIには肯定的な立場だった.
ただ下記の動画を見て再び揺らいでいる.
詳細は動画を確認して欲しいが,給付がはじまったとして,その継続が保証されているとしても,消費が伸びるとは考えにくい.これは日本人のマインド,志向の特性だと思う.ゆえに現在もベンチャーの発展に後塵を拝するのだろう.投資が下手なのだ.
さらに日本は消費税のせいか,慢性的なデフレという構造的な重要な課題を抱えている.そのため大金持ちでもなければ,貯蓄の方が賢明という負の沼にハマっている.悪循環どころではない.ただ沈むだけの沼こそが日本経済の喩えに相応しいだろう.
そのためBIが実現したとしても,その効果を期待するのは難しいと考える.
さらにこれまでの財務省の保守的な姿勢を見るに,MMTはおろか,BIの実現も難しいだろう.憲法改正級のハードルではないだろうか.
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