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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

経産省政策シミュレーションWS

はじめに

忙しい時期に重ねてしまったというのはあるが,昨年から気になっていたので参加.

ファシリテータは実際に経産省で働く人事担当の官僚.

そういえば知人にもそちらに行く人がいたなと思い返したり.

 

今回のワークショップはTOTALのみならず,経産省のHP経由でも募集があったらしい.

また人事担当により就職説明会的な色もあった.とはいえ私は既に内定を持っているのであまり関係ないが.

 

就職説明会

ただそのため経産省の説明もあったので,参考に軽くまとめておく.

 

特に強調していると感じたのは裁量だ.

確かに役所として見れば,おじさんが仕切っているイメージ,ステレオタイプはある.

しかし実態としては上長との相談はあるものの,数年目の若手でプロジェクトを回すこともあるらしい.

あとはコンサルとの差別化を挙げていた.

単純な政策を考えるだけなら両者できるが,具体化を詰めていく点は明確に異なる.公平性,公共性の問題もならではと言える.ここは向き不向きあるだろう.

最後に長時間労働は慢性化してしまっている印象があった.これは個人の目標ややる気にもよるだろうが,バリキャリの極みといった具合だった.もちろん紹介するエピソードとして,印象の強いものを持ってきているというバイアスもあるだろうが.

 

脱線すると,就活,キャリアといえば下記のリンクも面白かった.

なんだかんだ言っても新卒一括採用が最も合理的 | Human Capital Online(ヒューマンキャピタル・オンライン)

 

テーマ:科学産業分野の未来

そして今回は政策として公共性が独自なテーマであり,具体的に考えるにあたり化学産業の課題解決が提示された.

もちろん参加者は理系が多いものの専門は少なく,また学生の身分では業界の課題の知識も少ないので簡単に説明が1時間ほどあった.

詳しくは既に経産省などから報告書やppt,pdfが出ているので,気になる人はチェックするといいかもしれない.

 

イノベーションのジレンマ

これも簡単にまとめると以下のような感じだ.

まず製品として汎用品,機能品に大別され,前者は技術的障壁が低く価格競争が熾烈で衰退傾向にあり,後者は利益率が高いもののニーズを先読みして山を張るのが難しい上に技術的障壁が高い.

日本においては汎用品から脱しれずに今日に至る.

端的に言ってイノベーションのジレンマと言えるだろう.

また大手企業が互いを牽制し囚人のジレンマに陥っているとの指摘もあった.

pytho.hatenablog.com

他方,海外では米,独などが強く,グローバルなトレンドとしては,機能性へのシフトが進んでいる.

 

地方基幹産業

また日本の大手企業のプラントは地方産業と密接で潰すのは容易ではない.

先日,呉の製鉄所も話題になったのと同じ構造だ.

化学系では周南,四日市,鹿島などが挙げられる.

そこで働く人や,それに付随する関連産業への波及が甚大だ.

これはコロナと観光産業の今日の課題とも共通するビジネス上の宿命だ.

社会的コストの圧縮のため潰すにも,彼らの雇用や生活の問題がある.

 

化学系特有の構造として単一のプラントコンビナートを複数の会社で回していてプロセス産業と呼ばれ,自動車の生産ラインとは製造業の中でも異なる.一方で財閥系のグループ企業,持株会社が実は囲い込んでいる面もある.

加えて最終製品がイメージしにくく,自動車と比べ魅力に欠け,人手不足が相対的に深刻でもあるらしい.

 

起業ゴールの難しさ

また機能品の開発の芽は国内にもあるがうまく行かない.

ベンチャー死の谷が二段構えの産業構造になっているためだ.

1次的資金調達に成功しても,規模の拡大としての2期目に行き詰まりやすい.

大きな設備が必要で,法の縛りも実験室レベルより強くなるらしい.

 

大手企業のMA部門などもシリコンバレー深センに注目して,海外のCVCに注力しているようだ.

彼らは投資する資金と動機があるにも関わらずギャップが存在してしまっている.

 

 

ぶっちゃけ説明のつもりで,書きながら答えに近いものを書いてしまった.

まさしく最後のギャップの解消などがソリューションになる.

しかし政策の特徴として,理想論や青写真を描くだけでなく,具体的な活用法やターゲットを定めて実現していくミッションがある.

これにあたっては単純な手法のみならず5w1hのような深堀りが必要になる.

 

実は今回のテーマは当該インターンでも同様のテーマを行ったらしい.

ただそれは1週間程度のものだったのに対し,今回のワークショップは半日なのでリソースの不足は不可避である.

そのため各班の発表も課題を残す形ではあった.

 

グループワーク

大観

今回は理想の姿を考えるというサブテーマもあったので,バックキャスト的なプロセスを考えた.

まずは現状の課題を含め,アイデアを発散させ,それを分類し,検討するクラスタを絞り,そこを深堀りしていった.

特に課題の部分は,上記の話のまとめでくどい部分もある.

 

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ドローンは他分野だが先のリンクの建設テックでも挙がっていた話だ.

自身の知識を詰め込んでみた形だ.これが意外と悪くないのだが.

 

マッチング

さて,やはり”業界内のすれ違い”となると”マッチング”が浮かぶ.

これがバズワードで,就活でもこうしたワークショプでも聞きすぎて,辟易としているところは正直個人的にある.で,話を聞いていて他班も機能品だろうと明白に感じたので,逆張りで汎用品にして付加価値を上げるというのも考えたいところではあった.

 

閑話休題,そしてここが肝要.

前述の通りただ手法を漠然と示すだけではなく,ステークホルダーらに寄り添って具体化していかなければならない.

 

じゃあまずどう集めるか.

機能品の開発をしているベンチャーは資金繰りが悪くとも技術は持っている.

そこで技術を売り出して周知していくことが重要になってくる.

大手企業にリーチすれば,資金供給の可能性が見えてくる.

 

ビジコン

そこでビジコンの活用が浮かんだ.

 

しかしこのビジコンというのもバズワード的で浅い.

このテーマを具体的に本質的にしていかなければならない.

そこでテーマをニーズとシーズに絞ることを考えた.

 

ニーズは化学大手のみならず,最終製品のユーザのtoB企業も含む.

例えば最近はEVや再エネの負荷平準化で蓄電池の需要,開発圧力が高い.

これは私の研究テーマとも関連するところだ.

拡大解釈すれば,黎明期の社会課題とも捉えられる.

これを経産省主導でピッチのテーマにするのは自然だ.

もちろん化学大手側の需要も重要だ.しかしこれまでイノベーションのジレンマでうじうじしていた会社にそこまでの胆力があるとは信じがたい. 

パナソニックの甘さと誤算、揺らぐEV電池首位…盟友テスラ、中国企業から大量調達

 

シーズの議論は深堀りできなかったが,ビジコンにあえて学会などの学術分野を巻き込み横断化させてもいいのではないかと思う.消極的な理由になってしまうが,大学法人も新たな収益手段が求められつつある.

 

想定されるメリット:理想

そうしてビジコンという場を通して相互の認知を図る.

あとは技術がお互いに本当に必要なら,当事者同士が自動的に進行させていくはずだ.

政府としてはMAなどを簡単に支援する程度で維持できると考えた.

 

MAであれば起業のゴールになるし,資金供給と業務提携はベンチャー側の第2の死の谷を克服させられるし,副業やインターンの人事交流,特許の売買もいいかもしれない.

今回はMAに集中してしまう発表になったきらいがあったが,これは当事者が決めるべきだろう.
また経産省の優位性,必要性として,これまでの特許の取り扱いがまさしくだ.

 

他班

他も時間の制約に苦節したようだった.

例えば大手企業が機能品ベンチャーの買収に踏み切れないなら経産省が買ってしまうとか,大手企業のプラント施設のリース契約をガイドライン化するとか.

 

オチ

ぶっちゃけ化学産業は持ち直していて,振り返ってみれば機能品への変革は直近の課題ではなかった.

要因としては汎用品のリスクだった中国の石炭化学が環境性の悪化で頓挫し,米のシェールオイルも事業化のコスト低減に失敗し,直近のリスクが消えたことによる.

しかし新興国はこうしたプラントの開発をしていて,ジリ貧になることは長期的には避けられない.

 

で,これまでの本文で正解はほぼ示されていた.

マッチングに関してはファンドが設立された.詳細な具体化として,大手企業側の負担として出資金が求められた.結局,世の中金なのだ.これにより参加企業は情報の優位性を得ることができる.

 

その前に法律を制定して,大臣から産業分野として忠告を受けさせたり,メディアからの批判を高める北風と太陽作戦的なものもあったが,北風と太陽よろしくうまくいかなかったらしい.

 

また第4次産業革命のアプローチもあった.ドローンは一例だ.

日本は戦後,化学産業が発展し,施設は老朽化している.同様の製品を作るラインでも,海外の最新式の方がデータ収集など全面的に優れる.しかしデータが蓄積されていない.

古いということをリフレーミングして,データが蓄積されていると捉えた.

しかしそこにも課題はあって,企業秘密として1社のみに留まっていて,活用が難しい状況にあった.中にはフロッピーや紙という場合もあり,プラットフォームも整っていなかった.

これをまとめて活用していこうという方針だ.

 

ただの理想論では現場は動かないので,インセンティブ制度緩和としてドローン点検により目視点検のような頻度を下げてコスト圧縮が適切に可能なようにも配慮されている.

こうした数値の設定は難しそうだが,まさしく私の学部の研究室での研究テーマとも似ている部分だ.詳しくは信頼性指標で検索.