今回のこのスケジュールとしても,ぐるっとパスの残りを鑑みつつ,下記のイベント開催があるとのことで,そこに合わせた.
笑楽座
まずはこの笑楽座.
14時からでこれを考えて清澄に滞在した.
そのため本来であれば深川資料館にも寄りたいところだった.
ここは東京現代美術館の特別展をスルーして代えておくべくだったとやや後悔.
要は寄席をやってくれるのだが,案外この手のものは生で見たことなかったので,シンプルに楽しかった.
弊社や学校で最近Zoom越しに見られる機会は多くあり,そこで見に行ってみたいという気持ちが醸成された.
またこの企画,入場料のみだけで追加費用がかからないのもありがたい.
だからこそ気軽に参加できる.
これを機に,浅草方面の本家へ行くのもありに思えた.
落語に関してはちょうど今回のと同じ題目を英語版で聴いたことがあったので,本来的な順番は逆になるが,比較としても面白かった.
ほか神楽や紙切の曲芸も見応え十分だった.
これが無料なのはバグっている.
アンケートもあったが入場料を超えない範囲で追加料金があってもいいようと思う.
あるいは優等・予約座席として.
建築的面白さ
冒頭の画像でも十全に伝わるだろうが,常設展の収められた5,6階の造りが斬新極まりない.
大径間のスパンをとったモノリスにすべてが収められている.
3階や外から眺めても驚くが,中身も空間を広々ととっていて,空間的余裕に贅沢さが溢れる.
さらにそこまでのアプローチのエスカレータもかなり長く乗りごたえがある.
内部は木製の旧日本橋の実寸半分模型があるほか,江戸時代のジオラマが用途地域ごとに展示される.
人形も凝っていて,それぞれ職業なども意識されているとか.
土地利用の歴史
本項に関しては最近読んだ国道16号線の本にも挙げられていたところが記憶に新しく面白い.
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今回とも関連するところとしては,徳川統治時代以前の関東の土地利用が挙げられる.
この点が書籍にも書いてあるとおり,下記の屏風の前に太田道灌らから歴史が受け継がれている.
正直,歴史の割には展示や記述が蛋白だが,ないよりはましか.
そもそも資料も少ないだろうし.
この点ちょうどいいタイミングで特別展が3万年の東京の歴史をまとめているので後にまた詳述する.
ところで墨引き朱引きという都市計画区分があったらしい.
赤線青線を思い出せると思ったが,これは風俗,治安関連の行政区分だったか.
別の博物館で見たが,赤線黒線だったか.
下町風俗館だったろうか.
調べてみてもこちらは言葉の選択が悪いのかイマイチ振るわない.
あるいはかつての人工区分は,振り返ってみれば江戸も発展途上国的な雰囲気だったためか,それらに似た健全そうな分布をしている.
ゴミを活用するサステイナブルな生活然り,社会として現代がむしろ後退している側面も思えてならない.
もちろん科学の台頭に伴う生活文化水準向上は言うまでもないが,部分要素の視点として.
トレンディーな展示も.
緊急が開けて体験型施設も.
ジオラマの望遠鏡のみは退避されていたが.
歴史に学ぶ
結局がすべて,歴史に学ぶと言えてしまうが,特に個人的に興味のある分野をまとめる.
まず治水.
これは江戸時代に十分すぎる設備が整っていたのが分かる.
効率的な自然流下に関して,測量技術の高さも述べられる.
しかしポン・デュ・ガールにしても同様の分析があるので,改めて言われてもな感じもある.
解説が少し映っているが百貨店の雄のかの三越は,手数料のイノベーションで拡大したらしい.
手数料といえば,金融系のビジネスは今日も色々だ.
フリーミアム的キャンペーンによる熾烈な囲い込み合戦が代表的で,決済系から金融系の銀行,証券まで根本的な主題になっている.
特にキャンペーンは持続性が疑問で,それ自体が革命には思えないが,三越と同じようにビジネス構造を完全に変革しうるものが,競争合戦レースの中からあるいは全く新興から生まれてくるかも知れない.
金融関連の話だと,改鋳のインフレも言及されていた.
こうした話は明治維新以降,なんなら戦後以降に醸成されたと思われがちだが,統計や成熟した規則はなかったにしろ,根本的な原理はかなり古くからあったことを軽視してはならないだろう.
これは前述した関東,東京の土地利用にしても同様だ.
ところで吉原ほか遊女に教養が求められたという話も面白い.
これは実は現代にも通じる話の側面があるように思う.
男を接待する女という構図は,今も残ってしまっているが,そこでただ機械的に野性的に欲望を開放するのは理解できない.
そういう人らもいるだろうが,個人的にこうした風俗店でそういうのは非常に金の無駄に思えてしまい,全く面白くなく楽しめない.
結局,人間的深みというのは,高尚な場面を問わず,常に付きまとうものと思う.
少し自分語りになってしまって気持ち悪いが.
かつての舟運.
トラックが電動化したらいよいよ厳しいかもだが,水運業者の再興も個人的には期待したい.
やや高いが残ってないし,4.5万円の寄付をしてしまおうか.
ここのところ限度額が増えた上,グラボとVRと推し活とに惜しみなく消費してしまったために厳し目ではあるが..
先述の治水技術の要素の1つである水道の樋.
西洋文化との交流の一側面も見られて面白い.
しかし鎖国下だったこともあり,かなり少なかっただろう.
このあたりは長崎出島の思い出を振り返るのもありか.
印象派らのアトリエでの団結などの取り組みは,齧った知識として少しあったが北斎らの活動拠点についてはほとんど知らなかったため,本展示で勉強になった.
絵はかなり売れたことは知っていたが,それでも身分制度のせいか,かなり質素な生活をしていたようだ.
あるいは出版関係あるあるの版元に結構持っていかれてしまったのだろうか.
もちろん彼らも生産せずとも,その整備の努力は否定するところではないが.
作者自身よりも販売店の方が,金銭的にも心的にも儲かって安定していたように思えてならない.
館内には以下含め,いくつか絡繰りのような動く展示もあって面白かった.
特別展の歴史
先述のとおり東京,武蔵国,関東の歴史が長い期間をとってまとめられている.
ここの冒頭の挨拶によれば,高輪築堤の出土もきっかけの1つだとか.
歴史の大雑把な振り返りにも最適か.
旧石器から縄文,発祥地たる弥生から.
源氏は鎌倉に幕府を構えたし,その背景としても義経が関東系を股にかけたのは地味に有名なところ.
江戸博で会社同期にバッタリ会って驚きの余りにろくに挨拶もできなかった
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2021年10月3日
ここでばったり会社でチームも同じだった同期に会った.
まあ軽く2,3言返したくらいでなんてこともなかったけれど.
相手は1人でもなかったし.むしろそれ普通で,異常めな自分が変に映えるまである.
ここで太田道灌特集的なところもよかった.
東京五輪や東京駅など近い時代の展示もあったが,それ以前のお台場の小ささに驚いた.
現代的展示
上記と同様に常設展でも,江戸時代のみならず近代以降もまとめられる.
ただ戦争や科学技術進歩の側面においては,他の博物館の方がより詳しい.
展示の関連性や狙いは微妙なところだったが標高図も.
これも先の16号線の話に通ずるところがある.
結構地質的歴史もブラタモリ的で奥深く面白いところなのでおすすめだ.
私自身ニワカではあるが.
中流階級以上だろうか,和洋折衷の住宅模型も.
本館はこうした模型展示が充実しているのが,最大の魅力だろう.
展示品は悪いことではないがレプリカも多いので.
さらに近い時代.
しかしこれもまた”東京の文化”なのが,そのボリュームとしてから恐ろしくもあるところだ.
帰りはせっかくなので近くの美味しいラーメン屋へ.
今思えば両国で中央・総武緩行線で秋葉原は東十条から移転したほん田にすればよかった.
しかしただなんとなく大江戸線から蔵前で浅草線に乗り換え,宝町で下車し八丁堀の麺や七彩で江戸味噌の手延つけ麺を食べた.
深層心理的に江戸という言葉に引っ張られたのかもしれない.
これは江戸らしいのか,甘くも塩辛くて美味しかった.