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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

吉阪隆正展@東京都現代美術館

去年も行ったが、企画展の入れ替わりで建築系で興味があり再訪。

 

pytho.hatenablog.com

 

タイミングは春分の日で、企画展そのものに加え、学芸員らによる以下のセッションも狙った。

 

www.mot-art-museum.jp

 

正直、建築ニワカなので、この建築家自体はここで初めて知った。

年代的に丹下健三の少し下といったところで、コルビュジェに師事しモダニズム建築を感じるところなどに親近感がある。

私自身、モダニズム建築がジャンルとして最も好きなくらいなので、今回の知れた機会は非常に貴重でありがたかった。

また丹下健三に比べれば、彼が上の世代でより権威があったからか、吉阪隆正においてはそのおこぼれ的な国家プロジェクトまではいかないプライベート寄りの大小のPJTを担当していたのかと推察した。

 

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幾何学的で合理性を感じるデザイン。

ピロティ構造は非常に特徴的だ。

 

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イタリアの美術展のビエンナーレの日本館。

これについては後述。

 

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学校の校舎・教室配置も新たな合理的視点での挑戦的な提案をしている。

学校と言えば専ら長方形の校舎が思い浮かぶ。

しかし彼はテトラポット的な要素の環状配置を提案している。

外側を除き、教室同士が相互に見れるのは面白いし、このベランダと中庭を利用すれば、構内集会や各種構内行事をユニークに合理化できる可能性も感じられる。

マクロに円形であるという点においては、Appleの新本社にも近い要素を感じる。

あるいは意地悪な見方をするなら、それこそパノプティコンにも見える。

 

しかし外側の余ったスペースが無駄であることなどから、公共の合理性追求からは逃れきれなかったか。

残念だ。

 

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丹下健三との比較は前述したが、上記のように国土論や都市計画にも言及しており、かなり関連性もあったのだろうか。

こうした点は書籍などで勉強してみたいところでもある。

モータリゼーションの時代に市街地への交通を完全に排除するのは極めて先進的だ。

 

他にも直線的な建築が多い割に、自然の原風景としての曲線を重んじている節が随所に見られる。

これは登山家などの側面もあった下記のようなマルチな側面の表出でもあるかもしれない。

建物のエッジを稜線に合わせたりしているのだ。

 

関連して人工のフランス式庭園と自然のイギリス式庭園についての言及もあり、そうした学芸員による拡張的な情報補足と、関連性の付与もまた面白さを足している。

 

さらに自宅や作業事務所の建築が、極めて狭く前者は建物部分は4*6mほどだ。

現代風なミニマリストとの親和性も高く見える。

 

冒頭には彼や親の略歴も書かれている。

それによればスイスでの平和教育など欧州の空気に幼少に触れた経験も多かったようで、そこでこうした土壌が醸成されたのだろう。

また建築、平和のほかにも、環境、哲学などへの論考もあり、裾野の広さに驚く。

 

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そして15時の整理券配布を待って、セッションに参加。

ゲストは先の日本館に過去出展したキュレーター2人。

当時のビエンナーレでの美術展示について振り返りつつ、建築に関しても少し言及があった。

キュレーターの話を聞くのも初めてで刺激的だった。

アーティストとはまた違い、チームビルディング的難しさや工期、現地調達といった現実的問題が聞かれたことは斬新で特に面白かった。

 

この話がきっかけで、イタリアは近いうちに特に行きたい旅行先だったので、ビエンナーレにかぶせるものも考えていた。

すると下記のようなツアーもあるではないか。

 

 

まあ高いのだが、社会人になったことで出せないこともないのが、少し怖いところだ。

有給も温存しているしホワイトなので事前に言えば行けそうではある。

とはいえ世界的雰囲気とかを考慮しても、決心がつきにくいところではある。

また上記プランは燃油サーチャージを含まないので、ロシアの侵略で航路を遠回りする現在、金銭的、時間的ロスも懸念事項だ。

 

最後に社会人になって分かった感じたことだが、学生の暇なうちは旅行における交通や宿の調達も節約を兼ねつつ楽しくやっていたが、社会人にもなると忙しいしそこを金の力でアウトソーシングしてしまいたくなる気持ちも分かるようになってきてしまった。

人間的にはむしろ退廃を感じつつも。