AOKI's copy&paste archive

高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

音楽の魅力と感動

日程・会場
開催日時 2024年2月24日(土)
 16:00 開場 / 17:00 開演
開催場所 東京国際フォーラム ホールA

引用
のだめクラシックコンサート

全体的に巧拙としてはプロとしては正直やや下手な印象ではあった
しかしプログラム数にしては1万円と比較的安価で、プログラム数に対する価格としてはむしろコスパよしな印象だ
本文中、敬称略

ベートーヴェン" ピアノソナタ第八番 悲愴 第二楽章"

個人的には曲そのものよりも周囲が気になってしまった
2曲目以降はかなり落ち着いたが、始まってなお移動する人、ガサゴソした物音が気になってしまった
静かな曲から始めたせいもあってなおのことだ

ショパン" エチュード 作品10-4"

太鼓の達人で有名な練習曲
一転、アップテンポの曲になったが、一般よりはややゆっくりめな印象
しかし大きな場だと上がってテンポが異常に速まってしまう人が多いのに比べればアイドルとして場に慣れている経験が活きたか
小林萌花(BEYOOOOONDS)

グリンカ" 歌劇「ルスランとリュドミラ」より序曲"

ガーシュウィン" ラプソディ・イン・ブルー"

シークレットゲスト:角野隼斗
www.youtube.com

際立ってうまい
今回も上記同様JAZZYに仕上げてきた
あえて指摘するなら、のだめコンサートとして原作を尊重するなら、そこは抑えてクラシカルに保守的に演奏した方がベターとも思えた

とはいえ序盤のアレンジはかなり抑えられていたし、前回までに感じたピアノ・ソロ部分に特化したアレンジが、合奏中にもメロディが挿入されていたのは面白く進化を感じる試みだった

後述の理由よりビックネームだが、だからこそ伏せられていた感はある
公開すると客層も変わってきてしまうので

ラフマニノフ" ピアノ協奏曲第二番 一楽章"

石井琢
今回のゲストの中ではシークレットを除いて一番うまかった
後述の魔笛よろしく有名で難しい曲は相対化との勝負でもあるのが惜しいところか

ショパン" 幻想即興曲 "

Budo
www.youtube.com

全般的にメリハリ、緩急に欠ける印象だった
流れるような曲ではあるものの、もう少し溜めを入れたりした方がな印象だった
ここは好みの分かれるところもあるかも

ベートーヴェン" ピアノソナタ第23番「熱情 」第三楽章"

ヴェルディ" 歌劇「椿姫」より「乾杯の歌」"

www.youtube.com

現代のSNSを主とした広報を基点とした活動全般は否定しないが、10年くらい前と比べれば自己プロデュースの機会は非常に恵まれている
当然、YouTubeなどに自己の活動を掲載して周知を増やすのは重要な活動だ
しかし本場との経験とのバランス感がより難しくなったとも言える

彼らに抱いた印象としては、よくあるYouTubeグループ系列の音楽版という印象で、ブランド力、権威のようなものを逸しているようにも見えた
今回の内容としてもプロの場で、さらに編集もなく生で比較されてしまうと、いささか気になってしまった

それから広大なホールとはいえ、プロの声楽のましてや集団であれば、マイクなしにしてほしかった
しかし量と質が担保できるかも微妙なところなので、安全策なのかもしれない、、、

モーツァルト"歌劇「魔笛」より ハイライト

魔笛は魔というか蛇だね
有名だけに稚拙が出やすい印象
どうしても比べ易すぎるし、CMなどでプロの調整したものを聴く機会も多く

なぜか書いてなかったけど、オペラの魔笛新国立劇場でみたこともあって、、
pytho.hatenablog.com

レハール"喜歌劇「微笑みの国」から「君は我が心のすべて」"

モンティ" チャールダッシュ"

今回はゲストが若手に特化しており、その点は音大生を主とした原作に類似したものを感じる
若手育成の免罪符として、これ以上のものはないだろう
個々人の集客力の乏しい若手にも、原作ブランドや集合した力で大きなホールを埋める力になる上、彼ら自身に成長機会も提供できて、企画者には舌を巻く

ここまでの評価も辛口めながら、今回設定された低めの価格なら許容範囲の内容だ
その中で彼女は若手の中でも安定感が高かった
これ以降の演目はすべて安定していた

高松亜衣
次回の公演にも行ってみたいと思えた

コンサート | 高松亜衣公式サイト

こちらは残念ながら完売らしい
四月は君の嘘コンサートのチケット情報 - イープラス

魅惑のヴァイオリンとマンドリンのチケット情報 - イープラス

ドヴォルザーク" チェロ協奏曲 から第一楽章"

安定してよかったのでそれほどコメントもない
新倉瞳

ベートーヴェン"交響曲第七番 第一・四楽章"

ゲストとの相対的な差の影響か、今回のオケはかなりレベルの高い印象だった
特にクラリネットとフルートの木管系が良かった
このあとでコンマスがバイオリンを務めたが、本場ドイツの帰国直後ということで、彼の腕も相当立っていた

少し気になったのは上記のような公演特性で安価なため、生粋のクラシックファンは少なかった可能性が高い点だ
それ自体も客層の拡大に買っていて良好ではある
ただ楽章間の拍手はいかにもで蛙化的な気分を味わった

プッチーニ"歌劇「ジャンニ・スキッキ」から「私のお父さん」"

前述の通りコンマスのバイオリンのメロディラインがよかった


新国での魔笛のオペラよろしく、国際フォーラムでは先月上原ひろみのライブも行っていたが特に書けていなかった
やはりプロは全員完成度が高かった上、前から3列目くらいでピアノ寄りの神席だった

観光地の魅力と現実:仙台・福島の街並み

前回の続きの福島・東北方面
pytho.hatenablog.com

日曜

アジアカップ決勝

土曜の22時頃出発だったので到着は翌1時頃
キックオフは0時からでほぼ後半からだったが観戦しつつ宅飲み
試合としてはラフプレー、PK、VARの待ち時間に伴うアディショナルタイムが長くやや退屈だった

前の足で買っていった立山が良きでした

友人のYouTubeのホームはだいぶ違って興味深いね
自分のはあまり見せられる気もしないが
謎に科学系のチャンネルを雑に流したり

エントロピーの話とか出てきて意外と知識的な腕はそれほど衰えていない
衰えている感覚しかないのだが

仙台

福島にそれほど観光地がないということで仙台へ
市街地の道路混雑がゴミだった
モータリゼーションが悪い都市
プチ高速な上位道路も市街地に入れず渋滞
市街地内も左側車線の路駐などが酷くてうまく流れない

XXX

数万で街遊び
最終的なコスパはいまいちだったが、逆CPA的視点で新体験は面白く支払い価値はあったかな

会社の知人がメイド喫茶に行っていて、そこも高いながら体験としては面白かったそうな
通う気もさらさらないが、経験としてクラブやらそういうややディープな経験は増やしていきたい

高かろう良かろうなのだ

それから今回得られた教訓、価値観として顔の重要度が挙げられる
顔、外面は初期の印象とそれに応じたその後の印象に大きな影響を与えはするものの、結局ファーストインプレッションに過ぎず、当然その後の本質的な価値とは独立しており、大抵の場合において本質的な品質こそ重視されることが再確認できた
体面、体裁がよくとも技術とかの方が重要だ

コト消費系もそうだが、マチアプとかも体験という文脈でやるのはありかも
一生人付き合いがダルくて進まないが

アウトレット

ウィンドウショッピング
何を買うでもなく
見れば見るほどだいたいECでいいなって気持ちになる

夕食:寿司

www.google.com

ここも恒例だがいつも激混み
普通の赤身のマグロのコスパが最高
活タコ、白子軍艦も美味
調子に乗ってウニも頼めばよかった

飯坂温泉

福島友人宅におけるFA
露天が寒すぎる上、何故か湯量を絞っていて死
内湯は良きだが個人的には先日宇奈月温泉に行っていたのでありがたみ的なのは薄れていたのが微妙だった

月曜

昼食:広島焼き

www.google.com

福島で広島料理を食べるのも謎だが名店とのことで
プロの鉄板系は何にしても良き

松島

お土産わかめ、ずんだソフトを購入

割りと頻繁に来ているので、これといった感想もない
遊覧船だけ毎回乗れていないので、次回は乗りたいかな
あと仙台方面だとニッカウヰスキーの工場見学とか
試飲とドライバーのジレンマが火種になるが

仙台空港

大阪の友人はここでドロップ
夕飯寄り道の時間を考慮しなくとも関東までの高速よりも早着が羨ましかった

冬の宇奈月温泉旅行

長野

youtu.be
帝国劇場 ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』

長野の最終公演
平日昼間だけどマダム層中心に満席で驚き
金曜有給取得から建国記念日まで4連休を生成

女優が宝塚出身ながら男女混成でレベルも高かった
脚本自体もなかなか面白かった

宇奈月温泉

立山の面目躍如な断崖絶壁感
鉄道と雪景色も相まってGWのスイス的雰囲気も思い出される

せっかく冬の長野に来たので、ウィンタースポーツがしたかった
思えば軽井沢や飯綱でもよかった
しかし新幹線駅の駅チカの便利なのが少なそうだった印象
上越新幹線ならGARAがあったのだがさすがに高崎乗り換えはやや面倒

それと復興応援的なニュアンスで北陸もありだと思った次第
【チャリティー配信】『花咲くいろは』シリーズ全26話+劇場版【3月31日まで!】 - YouTube

ホテル黒部

特に理由もないがいろは補正もあって古き良きに寄せられた感じもある


料理は普通に美味しく日本酒、特に立山が美味しかった
旅館系は料理が多い印象があったのだが、思いの外ここは少なめだった
せっかくなのでぶりしゃぶもすればよかったとやや後悔


到着が日没後で景色は翌朝しか楽しめなかった


釣りバカ日誌やら西村京太郎やら最近の漫画やら、しばしばゆかりがあったらしい
鉄道模型の部屋もあったらしく趣味と実益を兼ねている感じは興味深い

温泉も露天があり冷たい外気とのシナジーが最高だった
サウナ整いよりも露天風呂の体の温かさと頭の冷たさのがよくないだろうか
景色もなかなか荘厳

スノボ


大きなゲレンデと林道の2コースの小ぶりなスキー場だった
しかし半日少し遊ぶだけなら十分
序盤1時間は転びまくりでしんどかったがその後はぼちぼち走れた
ちょうど昼にはほどほどに疲れと飽きが来たので、自分ながら絶妙なバランスだった

リフト半日券で13時まで
走りじめは9時くらいから
着替えもあり13時半には退散

温泉近い点は良好
ホテル黒部といいバブルのホテル感あるが、こういうアセットがある場所は活路がある

セレネ美術館


次との調整も兼ねてここで昼食
展示も見たくはあったが時間が足りないので、そこは今回断念

白海老が有名らしく、そのカレー
ホテル黒部の夕食でもがんも的なもので出された

黒部峡谷鉄道ロッコ電車

プレミアムツアー
前日夜にネットサーフィンしていたらたまたま見つけたので
ジオの広告の影響だろうか
プライバシー的にはアレだがグッジョブではある
『冬の黒部峡谷プレミアムツアー』開催! 予約受付中! | ツアーくろべ | 黒部めぐり〈黒部・宇奈月温泉観光局 公式サイト〉

学芸員ととのことで美術館ツアーのほうが興味はあったが、直前の滑り込みは不可で満席だったので断念して、トロッコ・車庫見学にスライド



分解しているのはオフシーズンの今だけらしい



冬は雪の影響で架線を除去したりとにかく停電しているらしく、線路上を歩くにしても傘を指せる危険に見える珍しい状況


このダブルアーチ景観はたまらない

橋まで少し乗車できた
停電なのでディーゼル車で
また寒さや危険の問題で窓付きの車両
色々考えて配慮されている

冬はトンネルに猿が寒さを凌いだりしているらしい


所要時間
5分黒部峡谷鉄道宇奈月駅1階
【1回】 9:30~
【2回】10:30~
【4回】14:30~
注意事項の説明

◆受付時「予約完了メールの写し」又は「予約完了メールの画面」を提示して、代表者名を口頭でお伝えください。
(お電話予約の方は弊社より郵送する行程表・予約完了案内書をご提示のうえ口頭で代表者名を申し出ください) 
黒部川電気記念館まで徒歩移動
(近接)
所要時間
20分黒部川電気記念館(見学)
黒部川電源開発黒部峡谷の自然と水力発電を紹介する記念館
所要時間
10分徒歩
車庫まで徒歩移動
所要時間
20分車庫(見学)
所要時間
5分構内徒歩移動
所要時間
25分トロッコ電車(乗車)
冬期運行
宇奈月駅~新山彦橋(往復)
所要時間
5分宇奈月駅

到着後、解散

『冬の 黒部峡谷プレミアムツアー』開催!! | 富山旅行での観光や体験の予約なら観光・旅行予約サイト|VISIT富山県

来シーズンからキャニオンルートも開業するらしく楽しみ
黒部宇奈月キャニオンルート 立山黒部の新しい観光周遊ルート一般開放

黒部ダムに行ったのは3年くらい前なのでそろそろ再訪もしたい
冬はこんな感じでホテル込みで寂れ気味だが、秋の紅葉付近などはトロッコというアセットも相まって結構賑わうそうな

ツアー自体は電気館という近所の施設で、関西電力のプロバガンダも見られて、まあそこそこ面白い


写真左手の展望台も行ってみたのだが雪で塞がれており観光地の自覚がない
やはり超マイナーオフシーズンだった

まで土曜

高速道路:那須高原PA

謎に急な予定で福島の友人宅に行くことになった
土曜の20時くらいに一旦大宮近辺に帰宅して、ほぼその足で22時発くらいで福島へ

新潟方面からうまい具合に抜けられないかとも調べてみたが、大宮経由が正義らしい
山脈が重すぎるか
ややニッチな都市間では飛行機も望めず

年末年始サバティカル休暇予行の寝正月

今回の年末年始

サバティカル休暇予行の寝正月

今回の年末年始も例年通りというか寝正月的だった
動画コンテンツが豊富なのでそれを消化するのみといった具合だ

年末の主要なものとしては、普通に地元の友人との飲みがあった
毎年恒例に近いが年が年で話題が徐々に深刻になりつつある
私含む大学院組も社会人数年目、高卒組は転職経験もあったりして、職場の愚痴と思い出話で冷静に振り返っていて悲しくなってくる
それでいて、どいつもこいつも女の気配に欠け、そうした話題で盛り上がれないのもなお悲しい
ただいい方向性もあって、お酒の飲み方は全員弁えて大人しくなったし、量より質にシフトしている
独身貴族のおかげで、無駄に高い酒が集まるのは良いのか悪いのか
「普通」に生きていこうとするならば、もう少し真面目にマッチングアプリとかやってもいいんだろうけど

年始、正月は一転、特に誰とも交流するでもなかった
加えて混んでいる上に中途半端に閉まっていることもあって、特段外出もしなかった
一応、年明けてから親戚には顔を合わせたくらい
買い物も最近はもっぱら楽天なので、普通の小売店に出向くモチベーションがほとんどない

上述の通り動画コンテンツで時間を潰す日々だった
思えば持ち帰った仕事を少しは消化してみてもよかったし、当初はそういう気概だったが、いざ惰眠を貪れば、そんな高尚なことはできなかった
思えば今回はTVの視聴時間はいよいよほぼなかった
正月に連続した速報くらいなものだろうか
それでつまらなさが増したとも言えたかもしれないが、やはり芸能系に興味が薄れすぎている

反対にというかTV的位置づけのWebメディアのAbemaが意外と悪くなかった
あまり声高には言えないが有料にせずとも、去年流行ったアドオンで快適だ
Abemaは自分の中では将棋への興味からそのチャンネルが、会社周りの界隈では麻雀リーグで話題になる素地はあった

アニメの無料コンテンツが非常に充実していた
今季放送に関連した

思い出系

今季の振り返り全話無料などもあったが、キリがないので割愛
かつてはニコ生一挙だったが、利便性の点など上位互換的だ
こういう休暇でもなければあまり動画を見る時間も確保できないので、動画見放題は未登録なのだが正直これで十分といった具合だった

特に思い出系は堪えた
ちょうど中高生のオタク真っ盛りの黄金期のものだったので、時間を開けて改めて見るのも面白かった
特にとあるシリーズはやや感化される
社会人にもなって感もあるものの
禁書3期の雰囲気的に、あるいは現状の原作やシリーズの盛り上がり的に新約のアニメ化は難しそうだ
しかしかつて新約の8巻くらいまでは既読で、微妙に続きが気になっているところだ
各所で食蜂の過去の記載を見かけるが、元ネタは不明のままだ
調べてしまえばそれまでだが、新約も完結して中古でもまとめ売りとかしているので、文量はボリューミーそうだが、一般的に長いとされている通勤時間を使って読んでみてもいいかなと考えたり

またFateシリーズ、ZeroはTV再放送もするので、当然おすすめはしておくとして、
キャメロットは劇場の前後半だったことと、公開当時でFGO熱が下がりかけていたので未視聴だった
いい機会だったし脚本がコンパクトにまとまっていたので、見やすくてよかった
原作はどうしても戦闘でのテンポや他のキャラクターのエピソードで冗長だった

ソシャゲはログボなど強化していたので、軽く復帰した
適当にかき集めたもので、ラッキーなことにピックアップでメルトリリスとティアマトを引けたのでよかった
しかしFGOはまだ課金するほどには熱が自分の中では盛り上がらないので福袋はスルー
2部4章くらいまではギリギリ追いかけていたのだが、それ以降はストーリーの難化でぶつかるとモチベーションもなく投げ出しがちだった
かくかくしかじか5章はクリアして、断章の伊吹童子で1年位前に止まっていた
いつの間にか断章をクリアせずとも6章が解禁されていたので、少し進めたりもした
Wikiの様子を見る限り環境もかなり変わって、インフレもしているらしいので、再育成して再チャレンジしてみてもいいかも
通勤時間はかなり大きくもあるので
しかし孔明の評価が下がっていたり、システムも様変わりのようで、浦島太郎で驚くばかりだ

ゲーム関連ではポケモンDLCも年始に買ったのだが、上記に時間を取られていたら結局放置されてしまった
ここは今月ゆっくりやっていこうか

効果的な利他主義宣言!慈善活動への科学的アプローチを考える

昨年末に読んでいた本の内容に、昨今の情勢がぴたりと当てはまったので、自己消化のためにまとめつつ紹介。
紹介する内容は上記の効果的利他主義についての書籍。

要旨をまとめると、寄付にあたってはそのコストパフォーマンスをよくよく吟味すべきという啓蒙。


また直近で近接性のある内容として、災害時の寄付のあり方にも言及があり、政府予算や各組織からの応援があるので、コスパの観点で見ればそれほど効率的な投資とは言えないという点だ。
当然、これは被災地への寄付・義援金を直接的に否定するものでもないが、一旦立ち止まって考えてみることも重要だろう。
特にツイート:ポストにもあるように、その効果にそもそも疑問がある場合はなおのことだ。

やや過去を遡れば24時間テレビの寄付金の扱いにも疑問があった。
特定の政治団体などを疑問視する声もある。
企業なら当然のこと、政治でもある程度、その予算の配分は注目される。
しかし寄付になると、俄然これらが闇に陥りがちなことを、本書は特に指摘している。
また入金の総額と送金の総額、中間費を開示しようとも、その費目、使い方にも注意があることを促している。
寄付金の権利は寄附者本人の我々に帰属しているので、その利用先はある程度コントロールされるべきだが、なぜか善意にごまかされているような側面もある。


本書は類似するイデオロギーとして、自ら功利主義も挙げているが、功利主義の守備範囲や目的が狭い点に対し、効果的な利他主義は包括的で柔軟性を持つ思想として差別化している。

本書では具体的な寄付先も提案しており、上位は途上国の健康支援、ついで経済や教育支援が挙げられている。先進国に対する支援は、アメリカの書籍ということもあってか、刑罰のあり方に関するものくらいだ。しかし世界中の人間の命や時間の価値を平等に置けば、先進国の改善はいわばコスパが悪く、理論的な効率主義で、功利主義的思想を延長すれば、自ずと支援先はアフリカ支援に向いていく。
そこで具体的な理論式として、QALYという健康指数の計算や比較を紹介している。これは公共政策分野の費用便益分析に類似しており、個人的な納得感は高いものだった。
考え方自体はそれほど新規性の高いものでもなく、要はトリアージと同様だ。これを世界規模で見ればというだけの話に過ぎず、この前提のもと地球規模で課題を検討すれば、理論的な計算を伴わずとも、同様の結果に行き着くのは半ば自明なことだろう。

そしてついで冒頭にも示した災害支援の非効率性が言及される。
関連して次に述べられるユニセフへのやや消極的な本書の姿勢も同様の理屈で語れるだろう。
要はこれらは感情想起性が高いという共通点があると、個人的には考えられる。
実際にユニセフのCMやポスターには、心理学を応用してアフリカの子供の可哀想な画像とメッセージを訴求している。資本収集には効率的で、腐っても資本主義の中で見出された最適解なのだろうが、本書の文脈とは対立するものだ。
大災害時にも扇状的な見出しでニュースのトップラインを飾り、結果的に世界中から支援金が集まる。

しかし良くも悪くもそうした支援がなくとも、災害支援に関しては、自衛隊の支援体制や関連法、民間企業の救済策などが整備、準備されており、上記のようないわばつまらない世界課題に比べれば、遥かに支援の資本を集められると主張されている。
これは個人的にもなるほどの理論で、確かにこれだけの支援がありながら、さらなる支援をするのは、支援者側自身のエゴも部分的には否定できないだろう。
特に昨今はSNSでそうした姿勢も主張できるが、偽善とは言いたくないが、そういう心持ちを示すことへの疲れもなくはない。
さらに言えば、ユニセフの心理学の応用といい、システム1の感情的思考に支配される人間の心の弱さを示す好例とも言えよう。
最後にこうした大規模な寄付先は、経済学的には限界効用逓減の法則がはたらくのもポイントだ。
二重過程理論 - Wikipedia

本書は多角的に考察、指摘が入っていて素晴らしい。
欠点をあげるとするならば、著者自身も自覚しているが、こうした寄付そのものを即座に送るのか、自身で投資で増やしてからがいいのか、インフレ率を考慮するとどうかといった記載は弱くもある。


ここまでが直近に関連する普遍的な寄付の内容で、追って同様の考え方を用いて、キャリア選択にも言及している。
寄付自体は財産に余裕のある社会人向けの内容だが、こちらは高校生、大学生向けの内容で、本書は全年齢対象的だ。

寄付はそもそも献身性の高い人がしばしば行う人の行動なので、そうした人のキャリアの最適解を検討している。
当然、1つの答えが出るわけではなく価値観次第で、その判断の手助けをするような内容だ。 
主に以下のようなものを挙げている。

  • NPO職員
  • 医者
  • 起業
  • 金融マンになり稼ぎを寄付
  • 政治家

NPO職員は直接関われるが、代替性も高く、キャリアを縛るのであまりオススメされていない。
医者も同様だが、途上国支援の意義は高いことを認めている。

読んでいた印象としては、金融マン系が無難なオススメといった印象だった。
金は天下の回りものということだろう。
またキャリアが柔軟なことも、特に若い人に勧める上では勧めやすいのだろう。
そう本書の面白いところは、いわば功利主義的に考えると、一見正義感に欠けるような内容が選ばれることだ。ウォールストリートなんて様々な文脈で、資本主義の悪者のように書かれるけれども、どうやらリバタリアン的思想と相性がいいのか。

政治家もわりかし評価は高い。
同様に投票の意義も解かれており、これは今の日本社会、とりわけ若者には刺さるだろう。
政治は勝てば官軍の世界で、リターンは莫大だ。
それでもこれだけ無関心なのは、システム的に本人が及ぼす影響力が小さいと見積もられているからだ。
今の日本の若者も行ったほうがいいと理屈では考えながら、どうせ変わらないという判断をしていることが多い空気を感じる。

ここでも理数的な考えが外挿され、それが期待値だ。
支持候補者の当選確率は、どうせ低いかもしれないが、仮にうまくいった場合のリターンは上述の通り莫大だ。
しかも投票は1時間外出するくらいで、それほどコスティーでもない。
小さなコストと確率、そして莫大なリターンを勘案すれば、ダメ元でも投票しておくのがいいということになるという勧めだ。
同様に政治家のキャリアもあるということだ。しかし能力的なポテンシャルがないと、難しいとも申し添えられており、本書は出身大学なども言及されている。


上記でキャリアの選択肢に金融マンを挙げたが、他にもコンサル、マーケの潰しの広さを評価されており、現在の業務内容がマーケ的だったのは個人的に福音だ。
別に特段やりたい仕事や社会課題というのもあまりなく、なあなあにやるにもちょうどいい。
態度が冷めていると、昭和的な人にはご批判を頂戴してしまうだろうが。

詳しくは本文に譲るが主要な判断基準は以下だ。心理学の職務特性理論の引用らしい。

  • 自律性
  • 完結性
  • 多様性
  • フィードバック
  • 貢献度

文脈が脱線して現在の仕事の評価になってしまうが、自分自身の改善点でもある、これで言うと

  • 自律性

高いが翻って自己責任的でもある、そろそろ自分自身でケツモチしながらやらないとマズイ

  • 完結性

普段の業務は当然1サラリーマンなので小さいが、特定のPJTやキャンペーンで見れば結構高い
ただしこの観点だけで言えば、やはりゼネコンなんかは叶わないなと

  • 多様性

仕事内容はやや単調で改善の余地あり

  • フィードバック

1on1などはマメで多様な人と設定できており良い

  • 貢献度

ここは明確に弱い、自部署の社会課題解決は正直やや疑問、隣の部署は幾分マシそうで、手伝う機会がありそうなのは不幸中の幸い

そんなわけで私は今回の被災支援を敬遠している。
ただしこれは書いた通り価値観の問題でもある。
おそらく今の世の中的にはこんなことを書くのは、むしろ損ばかりだろう。
しかし本文中にも書いた通り、その雰囲気が息苦しい側面もあり、根拠を持って一矢報いてみてもいいかなと。