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ゼミ23:貨物のシステムのレビュー

Real-time renewable energy incentive system for electric vehicles using prioritization and cryptocurrency

Tianyang Zhang, Himanshu Pota, Chi-Cheng Chu, Rajit Gadh

Applied Energy Volume 226, 15 September 2018, Pages 582-594

内容

本研究では,優先順位付けと暗号通貨技術を組み込み,動的な実態に対応するシステムSMERCOINを提案した.これはBEVユーザが,RES(ここでは特にPV)に優しいスケジュールで充電するように促す.そこに金銭的なインセンティブを組み込んだ.既往の研究でのBEVのRES最大化はV2Gを筆頭に行われているが実現には遠く,インセンティブは既存の金銭システムに留まっている.

SMERCOINは,まずシステムに望ましい行動をとる/とらないでユーザを優先順位で非金銭的に分類し,良いユーザに対してさらなる優先順位か金銭的なインセンティブを与えるという枠組みである.この優先順位は充電の柔軟性の利益を与え,インセンティブはRESの消費から節約されるエネルギーコストに基づく.このレートをγとした.またBEV所有者のみならず,充電施設運営のようなアグリケータもいる.残高や需供バランス,価格競争に応じγは変化する.また不換紙幣価値へは,アグリケータの定義した値とベースの値が合算され換金される.そこでアグリケータはコストを削減できる.さらに入札におけるブースティングというメカニズムも導入し,価格の変動がブロックチェーンによって確立される.

優先順位はこれまでのRESの利用実績に基づくよう定式化された.そしてこれに比例して各ユーザに電力が分配される.そこでユーザの相互利用を最適化するよう回避が図られる.

そして4人と4か所の施設というシステムのモンテカルロシミュレーションが行われた.最適化・情報の有無で明確な差が見られた.RESは25.7から29.1,29.6から31.3kWhに向上した.さらにUCLAで15カ月の実験をした.実験前には,PVの過剰生成と需供のギャップが見られた.ここではコンセントは4つに対して15人が使用するとした.停車時間などからEVユーザが一般的な一定の柔軟性を持つことが示され,適切な動機・インセンティブの活用の期待に言及した.図のPV利用率(:ratio)が,実装(網掛け)で増加したことが確認された.これは統計的にも有意だった.また季節によるPV発電量の変化も若干の寄与があった.今後,競争のシステムはユーザが増えることで,より効果的になるだろうと述べた.

感想◎

金銭的インセンティブは実効性・即効性が高く,現実的なPV活用策だと思う.ダイナミックプライシングはいずれ導入されるだろうから先進的で良いが,一方でそういった点では自動運転の方が卓越すると思う.

 

A New Open-source System for Strategic Freight Logistics Planning: the SYNCHRO-NET Optimization Tools

Riccardo Giusti, Daniele Manerba, Guido Perboli, Roberto Tadei, Shuai Yuan

Transportation Research Procedia Volume 30, 2018, Pages 245-254

内容

欧州の研究プロジェクトのSYNCHRO-NETの紹介・評価を本研究の目的とした.これはコスパが高く環境にいい輸送手段を促して,国際的なサプライチェーンの効率化を目的とした枠組みである.物流の最適化戦略や費用便益分析を統合した.これまでは原油高で1割削減できる低速運行が海運でトレンドだった.そこにさらに気象や停泊などの動的でモード全体の高度なシステムになっている.

ODの時間と場所を入力すると,可能な限り最高のシンクロモーダル(集約可能なもの)が示される.内部最適化はヒューリスティックアルゴリズムに基づき,各項に重みづけされた単一の目的関数の最小化で与えられる.そのためシステムのユーザの希望に合わせ調整できる.ここでは予約からの時間,総旅行時間,コスト,CO2排出量を検討・調整できる.なお原単位のようなパラメータは,予めデータベースが構築されている.さらに不確実性に対するリスクも示される.ネットワークの経路計算ではGTFS,OSMの両方が併せて用いられ,13万以上の車両・船舶や駅・港などの1200以上の施設,スケジュールなどもオープンデータに基づき,初期設定された.コンテナの管理と行先検索を,それぞれマルチに行えるよう設計されたが,実用的な前者が以降用いられた.出力として,システムは実行可能で信頼性の高い経路のリストを返す.そこでは地図上に示され視覚的で,主要業績指標KPIで評価しやすくなっている.

そして物流の世界的な大企業らとケーススタディが行われた.欧州内部と中国までのパターンが用意された.そこで空荷の最小化や,総合的なRORO船かコンテナか,海上か陸上かの選択肢が与えられた.そしてトラックキロの12~15%減少,鉄道の25~30%増加,空荷などの12~18%削減,船舶の排出20~25%減少,システム最適化による待ち時間20~30%減少という結果を得た.長距離輸送に絞っても,ラストマイルトラックの移動コストの5~8%削減が見込まれ,その額は€50億/年と推定された.

なおデモ版が公開され,大手各社がシナリオに対しビジネスのテストを行っている.

感想○

貨物全体の削減では,各会社の努力のみならずシンクロモーダルのような協力も不可欠で学術的な寄与の余地が大きいと思う.特に長距離トラックはやはり主要部分をシフトさせた方が人件費はじめコスト面で効率的だと思う.ただ研究というより紹介によっていた.

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おまけ

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