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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

ゼミ30:水素インフラLCA

Lifecycle performance assessment of fuel cell/battery electric vehicles

Jenn-Jiang Hwang, Jenn-Kun Kuo, Wei Wu, Wei-Ru Chang, Chih-Hong Lin, Song-En Wang

International Journal of Hydrogen Energy Vol 38, Issue 8, 19 March 2013, Pages 3433-3446

内容

台湾でのFCVをシミュレーショによるLCAを目的とした.比較のためBEVも検討した.

まずMATLAB/simulinkを用いてFCVのエネルギー効率とGHGの分析を行った.水素はSMRとグリッドまたはPVによる水分解の3つを考えた.バッテリーなどの詳細は以前の論文で行ったため割愛された.まず気体の状態方程式などから燃料電池の効率が定式化された.これより各パラメータの公称値・最大値が導かれた.またバッテリーの充電や走行のエネルギーも定式化された.また水分解でのこの時点での技術とその効率が示され,定義された.これらに基づきNEDCサイクルでシミュレーションされた.

まずBEVをLEAFで行い誤差3.4%以内で再現した.FCVも行いモーターのダイナミクスが劣ることが示された.そのため初期や回生で内蔵されたバッテリーがはたらくことが示された.そして考えられたFCVの燃費は65MPGeだった.ICEは28,BEVは99であった.したがってEVの効率が良いことが分かる.FCVがBEVに劣るのは電気化学反応による損失が大きいためと考察した.またシステムと効率のグラフプロットより,システムの正味電力が28%程度でピークとなった.

さらにGREETモデルでWtW分析を行った.WtWではグリッドの水分解は著しく悪いもののPV利用はSMRよりエネルギー,GHGともにBEVよりも抑えられた.WtPの効率では従来のガソリンが80%と最高で,PVが63%と続いた.全体としてICEとの比較が右図になる.PVによるFCVが非常に効果的なことが示された.また初期に有用であろうSMRも効果的なことが示された.

感想○

GREETモデルを用いPVも検討して近しく非常に興味深かった.だがPVでのBEVは除外されていたのが気がかりだった.

Life cycle assessment of hydrogen supply chain with special attention on hydrogen refuelling stations

Christin Wulf, Martin Kaltschmitt

International Journal of Hydrogen Energy Vol 37, Issue 21, Nov 2012, Pages 16711-16721

内容

独の水素補給ステーション(電気分解)の実績値を参考に水素燃料を分析した.これは生産される水素の半分を満たす.その他はSMRが占める.またコンパクトなタンクなため電気貯蔵施設のポテンシャルも持っている.バスにも供給している.

そこで水素生産に関してLCAを行った.GHGに着目し一時的エネルギーとして全電力平均やRES,SMRの化石燃料だ.そして各プロセスでの単位量あたりの製品や輸送などのエネルギーの流れが定量化された.データは原則ecoinventに依る.SMRは改質において天然ガスや石炭が脱硫・過熱したものに水を加えCO2を吸着することで作られる.一般に対照的に工場生産なのでガスの輸送コストも検討された.同様にバイオ系のグリセロールやバイオマス化も検討された.これらの副産物のクレジットと詳細なパラメータが求められた.ステーションとしてのタンクのデータは不足していたので仮定が置かれた.

結果はやはりRESでの分解が高く木のバイオマスも同等だった.全電力平均は2度の変化を経ることや化石燃料由来といった要因から悪い結果が確認された.グリセロールも高い結果となり環境施策として意外な結果となった.これについて農業(菜種)の一般的なプロセスでの排出が多いと考察した.また化石燃料からの生産も効率などから石炭より天然ガスが優れていることが示された.また出力の詳細が示された.99.8%が発電に用いられ,電解槽の生産や水の供給のエネルギーが無視できるほど小さいことが確認できた.同様にパイプラインの建設のコストも環境の観点からは影響が微量だった.

そしてバイオマスのGHGも生産中が8割余りを占めた.残りは圧縮と補助機器に半々に用いられたことが明らかになった.石炭のガス化は酸化に多くの電力が必要で排出量も多いことが示された.

 

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感想○

他の論文で軽く無視されていたような水の輸送コストなどの事項も詳細に検討されていたのはよかった.水素について理解が深まり良かった.またグリセロールという手法は皮肉で難しいものだと思った.

 

GREET model

GREETモデルに変更を加えた.以下のスクリーンショットのようにエネルギーの構成に関する項目をアメリカのモノをベースに日本のモノへ変えて再計算して結果を比べた.しかしFCVは国に関する項目がなかったので直ちには行えなかった.なお以下はいずれも全電力平均を表す.これよりアメリカでは火力が多いものの原子力(20%)も占めるので,その分日本の結果の悪さが際立ったと考えられたが,原子力12%という値が用いられていた.アメリカを見直すと水力・風力が各7%でこれらのRESの影響も考えられる.この点については今後さらにデータを外挿して考察できる.

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WTP Energy

WTW Energy

WTP=WTWCO2

BEV

Car

US

81MJ/hkm

157MJ/hkm

9.80kg/hkm

BEV

Car

JP

112MJ/hkm

189ML/hkm

13.26kg/hkm

BEV

Truck

US

567.97kJ/(t km)

1108kJ/(t km)

68.92g/(t km)

BEV

Truck

JP

790.78kJ/(t km)

1331kJ/(t km)

93.28g/(t km)