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ゼミ29:WtW in Swiss

Well-to-wheel costs, primary energy demand, and greenhouse gas emissions for the production and operation of conventional and alternative vehicles

Mashael Yazdanie, Fabrizio Noembrini, Steve Heinen, Augusto Espinel, Konstantinos Boulouchos

Transportation Research Part D: Transport and Environment Vol. 48, Oct 2016, pp 63-84

内容

スイスのインベントリデータよりICE,EV(FCV含む)比較を目的とした.これらはこれまでと同様にそれぞれで一次エネルギーも複数考えた.新奇性として,エネルギー,排出,コストのすべてを総合に評価できている点にある.ただし補給インフラは含まない.

GREETモデルやGHGeniusモデルなどの他とは対照的に,ecoinventは本研究に関連するスイスでのエネルギー経路の固有のデータが含まれている.バッテリーの劣化を充電サイクルのべき乗則で明示的に含めた.エネルギーミックスはスイスとEUで考えた.また電化比率のべき乗則を考えたAER(:all-electric range)を用いた.また運搬の燃費などを与えた.費用の計算においては,技術系はまだバラツキが大きいのでこれらを含めて計算し,結果を箱尺で示した.なおEVには税金を含まない.バッテリーは既往研究の航続距離との線形式から算出した.またFCVや新しいICEは文献を多く参照した.

結果,エネルギー効率としては,太陽光やEU全平均利用は悪く,バイオマス,SMR,部分酸化法POが良かった.

航続距離の設定に応じて,(B,PH)EVは価格が大きく変化することが示された.そのためバッテリーのブレイクスルーの必要性が示された.冷却の貴金属による支配が表れたと考察した.またEVが必ずしもICEを環境面で上回るとは限らない点も示された.しかしコストについてもICEを上回るFCVも見られた.特に低温発電とSTDにおいて.一方でICEもCNGといった改善策の効果が表れたとも言える.また現在の炭素税はコストの不一致を充足できていないと指摘した.また再エネでのFCVが環境に非常に良い結果を残したが,水素の保存の障害が示された.しかしポテンシャルが示されたと考察した.

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感想◎

網羅はなかったので面白かった.HEVは回生と低廉なガソリンの利用で,プリウスに代表されコストでは非常に優位と思ったが,結果は真逆で驚いた.ガソリン比でのディーゼルの効率性も示され,トラック輸送自体も,“効率”としては悪くないのかもとも思った.ただWtWとしつつWtTなどで分割した検討・考察がなかったのが残念だった.

A comparative analysis of well-to-wheel primary energy demand and greenhouse gas emissions for the operation of alternative and conventional vehicles in Switzerland, considering various energy carrier production pathways

MashaelYazdanieFabrizioNoembriniLionelDossettoKonstantinosBoulouchos

Journal of Power Sources Volume 249, 1 March 2014, Pages 333-3481

内容

スイスにおける水素に着目した各EVのWtW分析を行った.

まず水素の製造を細かく分類した.水分解は温度で分類された.高温でより効率的とされ原子力の熱を使った効率化の有無が検討された.また亜鉛を通じた太陽熱化学も紹介された.ここでは入力エネルギーは太陽エネルギーとされ,電気で処理・圧縮すると仮定した.同様に酵素による光生物も太陽エネルギーに基づき検討された.SMRなどのこれまでの論文で主流な手法も包括された.

そして多様なEVとICEを1350kgの乗用車において比較した.参考に電池は150Wh/kg,燃料電池は3kg/kWだった.建設費を含めて計算した.ただし水素系施設はデータが確立されていないので無視した.そのため過小評価の懸念がある.ツールはecoinventを用いた.

ハイブリットは電気で走行する割合と生涯の走行距離の関係性が入力された.

正規化された各エネルギーの製造効率と燃費・電費が示され,これにより計算された.結果はまず水素の生産では再エネなどの導入でGHGが減ることが示された.一方一次エネルギー需要はバラツキが大きかった.例えば廃棄物は効果的だったが光生物は酵素の差が大きかった.

EVとしては前回と同様概ねICEよりも効率的な結果が得られた.右図ではEVとFCVで色分けして比較した.傾向としてFCVはエネルギーの変換の効率がボトルネックとなり劣った.そして電力ミックスにより敏感と考察した.また原料ごとの比較をし,SMRなどで石炭は非効率,天然ガス由来のEVはICEより効率的なことが示された.まとめとしてスイスは水力と原子力で恵まれているとしつつ,世界でこの研究の有用性を用いれると述べた.

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感想◎

珍しい水素生産も含まれていて興味深かった.BEVよりFCVが不利な点が示されたが大型車での包括的な比較をしたい.

これまでのまとめ

0は○,*は×を示す.

WtWGHGはWtWでの温室効果ガスGHGについて,Eはエネルギーについて表す.

上ほど最近のものを示す.

著者 発行 地域 車種 PT WtWGHG WtWE LCC 補給 備考
Yazdanieら 2016   EV 0 0 0 *  
C.Askinら 2015 大型貨物車 ICE 0 0  
脇ら 2011 乗用車 FCV 0 EVが弱いがGREETを参照
Gelminiら 2018 貨物車 BEV 0 0 *今後の課題 最適化問題を利用
Wang 2002 乗用車 (HEV,)FCV 0 0 * 0 GREET
Leeら 2009 乗用車 FCV 0 0  
Keller 2019 大型貨物車 FCV(,BEV) 0 0 0 * VRE検討
大槻ら 2019 総合 FCV 0 0 * 大規模数理問題
Kosaiら 2018 乗用車 全般 0 0 * * HEV以外悪化
村田ら 2003 大型貨物車 ICE * * * * シャシダイナモ
Brownら 2013 LA 乗用車 FCV * * 0 0  
山本ら 2010 総合 EV 0 0 * *  
松橋ら 2007 小型車 BEV,HE 0 0 * * バックキャスト
中上ら 2010 小型車 PHEV 0 0 0 *  
西村ら 2019 小型車 全般 0 0 * *  
李ら 2018 塵芥車 FCV 0 0 0 * 実験ベース
畑村 2019 乗用車 EV 0 0 * 0  
Guandaliniら 2018 欧? 貨物車 全般 0 0 0  
Leeら 2018 貨物車 FCV 0 0 * * PV検討
Breyerら 2019 旅客貨物 ? * 0 * * PV検討
Çabukogluら 2018 貨物車 BEV 0 * データ利用
Çabukogluら 2019 貨物車 FCV 0 0 * 0 データ利用
Senら 2017 大型貨物車 BEV * 0 0  
Zhaoら 2013 大型トラック BEV 0 0  
Mareevら 2018 トラック BEV 0 0 0 燃費シミュ
有森ら 2012 全般 CEV 0 * 0 * ポートフォリオ
松田ら 2019 路線バス BEV 0 0 * * 実験ベース
Kumarら 2019 途上国 貨物 - - - - - アンケとファジー理論
Wadudaら 2016 ? 全般 全般 0 0 * * ASIF
Michalら 2017 貨物鉄道 -          

CF

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