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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

管理社会の受容性と匿名性の崩壊の考察

昨日20/5/17のNHKスペシャルが面白いコンテンツを提供していたので,半ばそれに便乗して記していきたい.私的New Normalについてであり,議論の種自体はシナリオプランニングなどで行った通りだ.

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テーマはコロナの延長で対策としてのプライバシーの在り方だ.結論から言って今後プライバシーは軽視される社会に変容していくのではないかと私は考えている.管理社会の到来だ.それゆえに当記事・YouTubeをはじめSNSはプロフィールを明かし本名で運営している.なお言葉に棘があるが決してディストピア的ものを指すものではなく単に効率化の問題だ.

まず同番組においてLINEのアンケートにより,今回のような事態において,個人情報の提供に61%が肯定的立場を示したとしている.これは彼らが自身のプライバシーより社会性を重んじていると考えられる.そしてこれが過半を占めているのは非常に重要だ.民主主義的なエビデンスたり得るからだ.反対派も当然いるが,この結果の潮流は導入を加速させる.導入が済んでしまえば,反対派もその環境に準ずるを得ない.ここで二項対立的に示したが,現実には柔軟な運用が求められるだろう.

ここでこの結果は今回のような特殊な事態による例外的なものだとする批判もあるだろう.しかし今後は不確実な事態に対する恒常的な対策が重要になる.VUCA下でのNewNormalだ.具体的に言うならば,迅速な対応を可能にすべく対策を推し進めなければならず,SARSに対する韓国は好例だ.さらに言えば日本とともに儒教文化のバックボーンの相性はいいかもしれない.

さらに現在のプライバシーの重視は行政上の障壁になっている側面もある.本人確認などの手続きの煩雑化だ.マイナンバーが本来の意味で導入されていれば,給付金はもっと楽でスムーズなものとなっていただろう.こうした面倒な背景があって,混乱や政権批判につながっている可能性も検討できる.こうしたメリットが実用可能で認知されれば,管理社会の受容も近いだろう.

さらに現代社会において管理社会の利点は他にもある.テロ・犯罪などの抑止だ.指名手配などは画像認識AIといった技術との相乗効果もあって飛躍的に改善するだろう.脱税といった犯罪の抑止の方面も期待できる.

そして匿名化の排除は諸刃の剣となる.これまでの自由な議論は,ある程度の制約が予想される.ただ特に掲示板やTwitterといった匿名ツールは,その匿名性からユーザの攻撃性を助長する.ゆえに過剰な攻撃や風評被害が拡散する.実名化はこうした現在の弊害を一網打尽にする.ここからは性善説(確信犯的誤用)だが,実名化により情報の発信に責任が伴い,ソースチェックといった作業が重視されるようになり,議論の場が刷新されるのではないだろうか.ただ現在のワイドショーがあの有様なのであまり期待はできない.

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そして管理社会に移行するであろう最後の根拠を示す.信用経済の到来だ.単純な貨幣経済からSNSのフォロワー数や保有するスキルが評価される時代に到達している.これは蓋然性の高いムーブメントだ.これに便乗するように,蓋然性は比較的低いものの管理社会に移行するのではないかと考えられる.既にサービスされているJscoreはAIによる与信枠をスコアリングしている.こうした技術が人件費削減,AIの台頭によって,あらゆる場面で当たり前になっていく.こうした未来はアニメPsycho-PassといったSF作品にもしばしば見られる.こうして信用をスコアリングする過程で,結果的に管理社会にならざるを得ない状況になるのではないかと考えられる.

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前半は今回のコロナショックによる状況による受容性,後半はシナリオプランニング的絶対的変化の課程として管理社会の到来を検討した.以上のような理由から,私はインターネット社会においても実名で活動している.これは実は過去の失敗から贖罪的な要素もあった.ただ自主的に実名で活動することにより,責任感が生まれ健全な活動に努められると考えられる.だからといって匿名のSNS利用を批判はしないが,攻撃的な発言や,デマの拡散に寄与してしまったなどの過去の経験に自責を感じる人は,全般的な実名での活動を検討してみてはどうだろうか.

 

5/24追記

木村花さんがSNSの誹謗中傷により死亡し,社会問題化している.テラスハウスで視聴者の反感を買ってしまったのが一因のようだ.私は同番組を全く視聴していないので,事の経緯に明るくない旨を予めことわる.

これをここに追記したのは関連性を感じたためだ.今回をはじめとしたインターネットでの攻撃的発言の根本原因は匿名化にある.同様の内容は上記のマシュマロ動画に詳しい.加えて日本的いじめ文化の関連性も考えられる.しばしばいじめにおいては,いじめられっ子は孤独を強いられる.これはいじめられっ子の助っ人に入ることが部外者から大きなリスクになってしまうからだ.

さらに匿名化と同様の心理的・本能的攻撃性も考えられる.彼女のリプ欄を詳しくは知らないが想像は容易につく.そしてSNS(Twitter)の構造として攻撃的な発言は,他者には見えづらい.自然にはTLに表れないためだ.そのためインターネット社会が善意で占められていたとしても,構造的に攻撃者を抑え込みにくい.また攻撃者自身は被害者に興味があるため,攻撃者の同士を見つけやすい.さらに匿名SNSの欠点として,仮にアカウントを停止させられても,別垢を作り直すことで復活することができてしまう.対処に対する徒労感も構造的欠陥を生み出している.

一方で有能は知名度向上にこうした炎上をメリットとして利用することがある.彼らはメンタルタフネスで賢い.ただ万人がそうでないことを考えた利用も必要ではないだろうか.

最後に解決策を検討する.この手の炎上騒動は原則として,無視して収束を狙うのがベストになっている.ただし炎上者の非による場合は迅速で誠実な謝罪になる.ただこの無視というのも被害者からすると,積極的でなく決定打に欠け相手に依存するところに課題がある.長期的には上記本編に示すように匿名化の撤廃:実名化により,構造的解決をするか,AIにより攻撃的発言を除去すべきだろう.前者の課題は本文の通りだ.後者は言論の自由の侵害の懸念があり,技術的障壁は低くとも,倫理的社会的障壁が高いだろう.ゆえに本編の論旨を補強させてもらうならば,やはり実名化へのシフトはある程度避けられないと私は考える.

そして具体的な手法として,ブロックは悪手だろう.こうしたテクニックは専門家の領分だろうが個人的な考えを付記する.ブロックの短所として,ブロックが相手側に知れてしまう問題がある.場合によってはこうした状態をスクリーンショットにしてさらなる炎上を狙う手法も散見される.繰り返すが対処には徹底した無視が現状ではベターだ.

そこでミュートを用いるべきだ.そしてSNSプラットフォーマはこの機能を強化すべきだ.これは攻撃的アカウントのほか,言葉でも指定できる.”死ね”といった暴言を一通り登録することにより,こうした単語を含んだ発言をいわば一網打尽にできる.ただこれを各人が登録するのは非効率的だ.ITリテラシの低い利用者も多いだろう.そこで一般的な程度において,デフォルト設定を以てプラットフォーマが登録すべきだ.あるいは一通りの発言によって,社会的点数化を行ってもいいかもしれない.これはWinWinになる.利用者は健全な利用が促され,インフルエンサーのメンタルが守られ,プラットフォーマも評価される.特に前者は言論の自由も害されない.

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うっ