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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

推し・V考察

はじめに

先日,なんとなく推しについて書いた.

pytho.hatenablog.com

そして界隈では有名かもだが,以下のサイトにたどり着いてしっくりきたので,これを基に考察的なことをしてみたい.ここでは主ににじさんじとホロライブの比較をテーマとするが,対立煽りや優劣をつけるものではなく,業界を批判的に記すことで改善を期すものとする目的を付記する.

note.com

VTuber業界の歴史

自身のおけるVの歴史を振り返ってみると,動画にあるように四天王で認知をして,にじさんじの芸人的ライバーを経て,アイドル部に推しが傾くも不祥事で箱を離れ,現在はホロライブに落ち着いている感じだ.こうしてみると2年程度の短期間ながら,大きなムーブメントが起きていることを改めて感じる.

四天王

それぞれが非常に濃密な印象を与えた.初期は四天王とまで言わしめて,企業や技術の圧倒的プライオリティにより支配していたが,内容の陳腐さからか企業勢の侵攻を許した.

にじさんじ一次ムーブ

そこに対する個性の爆発する新人のイメージは非常に鮮烈だった.ただ私の好みの問題として,お笑い的なものがそこまで好きでないこともあってアイドル売りをしているものに傾いた.ただこれは相性の問題だろう.その間にもにじさんじは着実に規模を広げており,業界や参入機会を増やしていて時々その勢いを垣間見た.

アイドル部炎上

ここでアイドル部は四天王の存在もあってか,優位な立場をとったに見えたが,事務所のゴタツキ・無能さが露呈してしまった.ライバーへの影響は軽微だったと感じるが,単にイメージの問題として萎えてしまった.またライバー同士の不仲さが見られるのは不愉快だった.箱のプロデュースにおいてこの点は最重要だ.次点でライバーを支援する企業の在り方もまた重要となるだろう.

ホロライブの台頭・隆盛

結果,現時点においては2つの箱のいいとこどりをしたホロライブに帰着したと言える.当事務所がどこまで考えているかは不明だが,先述の懸念点が概ね払拭できて好印象を与えたのも移行に際して力強かった.ライバー同士が個人を尊重している風土と,相性のいいカップリングの誕生,ゲーム実況におけるメーカへの裏方による確認などだ.ライバーが好きな視聴者にとって,ライバーが支援を受けていて良い環境にいることは視聴者にも大きくプラスだ.若い業界ゆえか,運営側がしばしば大学サークル程度と揶揄されることからも,ここへ力を入れることの重要性を暗に説いているように感じられる.

展望

こんな動画も

www.youtube.com

箱の趨勢はともかくVの業界自体の成長性は確定的だろう.ゆえにこそ真に覇権を握れるのがどこかの影響も大きい.

ただこの2年間でここまで劇的な変化を遂げているためvolatilityが高く予想を立てることは難しい.今最大手の事務所も数年後には弱小へ衰退しているかもしれない.

 

ここまで流れを追ってみた.推し(箱)が違ったり,そもそもVに興味のない読者もいるかもしれないが,浅めのオタクゆえに一般性の高い見方と言えるだろう.

衰退論

引用

次に冒頭の衰退論について考えていきたい.要点は以下の通りだ.

男女コラボ、共有鯖の活性化、大会などの箱企画が増える

大勢が集う場所で箱推しファンから注目されるかどうかが重要になる

コラボでオチ担当や弄られ側に置かれるのは男性ライバー
ゲームの分野で活躍するのも男性ライバー
箱推しに注目されるムーブを積極的に取れるのは男性ライバー

男性ライバーにファンが集中して箱内のファンを数多く抱え込む状況
しかし男性ライバーは根本的に箱外からの新規を取る力は弱い

逆に箱の数字を使うのが下手で男性任せにして面白い事をしようとしない、影の薄くなった女性ライバー達が弱体化
男性ライバーの存在感が増した箱の中ではアイドル売りも難しくそれらを求める層はホロライブ等に流れる

新規を取れるような女性ライバーが生まれ難い土壌になる
(芸人路線やゲーム路線なら男性ライバーに勝たなくてはならない。アイドル路線なら男性との絡みがネックとなる)

箱自体の新規が枯渇することで男性ライバーに流れる数字も打ち止め

ここで男女間の一般的な先天的性差を主に証拠にして考察している.フェミニストジェンダーにおいてセンシティブな展開になっているものの,概ね頷ける部分が非情な現実を示すように感じる.ただぶっちゃけこの手の議論は,学校や会社の広い部分にも適用できる可能性もあるようにすら感じられる.理系の男女比や学位の性差が根拠たり得る.社会的な言及をするならば,Vに限らず日本社会の固有の問題として捉える必要性もありそうだ.そこで面白さや他人への依存度を定量化できたら面白そうだとも思う.箱:事務所にもそうした部隊に多少は人員が割かれているものと考えられるが,外部の視点から普遍的に鳥瞰するのも面白そうだ.

最近の女性Vの陳腐感

脱線はこの辺りにして,最近ただ可愛いだけの女性Vが増えてきた印象は確かにある.ただでさえ既にレジェンドたるライバーがいる中で,これを超えていくような期待を持たせる個人は少ない.これはにじさんじで顕著だ.ゆえにこそ粗雑乱造のような揶揄もされているのだろう.確かに業界の拡大と支配において単純な数は重要だが,それに伴う質の低下が著しい.逆転しているが組織における窓際族のような印象すら与える.これは別記事で詳しい考察もある.

note.com

How about 男性V

他方,男性Vであるが,これが環境的に難しい.これが冒頭記事にもあるユニコーン問題だ.かくいう私もこのきらいがある.にじさんじ所属でニコニコのランキングにもしばしば表れ名前は知っているが積極的に見る理由が見当たらない.

二次元は女の子という伝統的文化とリビドー

これには様々な要因が挙げられる.まず絵だ.PixivやTwitterのタイムラインで二次元の絵を見る機会は多いが,これは男性向けなら専ら女性あるいはそう見えるキャラクターだろう.

ディスシナジー

また男女のセールスポイントとそのシナジーの差異もある.女性なら綺麗な絵と声のシナジーが期待できる.これはRPで特に効果的だ.しかし男性は声や絵などの外見的要素よりも,トークやゲームスキルといった内面的要素にそもそも強みがあり,ここでVとしてのシナジーがはたらかない.

Vの必要ある?

ゆえにこそ,加藤純一やライバロリといった既存の生主的立ち位置が未だに強いものと考察できる.また売り方の違いもある.男性Vは専ら芸人的だが,現状の趨勢としてはアイドル的立場の方が求められているように感じられる.この点は今後のV業界の拡大と共に住み分けが進んでいくだろう.

箱の強み

面白さ・マルチスキル

そして推しに話を戻すと,ホロライブは箱として強みを有しているだろう.女性のみのグループにより生存戦略として,アイドルでありながら芸人的振る舞いが求められる場面がある.ただこの塩梅がちょうどいい.あくまでアイドルの最低?ラインを保持しつつ,芸人性を両立させているように見える.企画自体もライバーには負担が大きいだろうが,耐久や罰ゲームありでエンタメを増大させている.

これは日本社会におけるパラダイムシフト的とも言えるかもしれない.これまでTV芸能人は,アイドル・俳優と芸人で完全に住み分けされてきた.さらに女性アイドルであれば,スキャンダルが許されず昭和的な女性的であれという空気もあった.

しかし昨今のVは一部のにじさんじライバーらも含め,垣根が融和している.歌ったり踊ったりしつつ,えげつないエピソードや企画が行われ,いい意味でYouTube的だ.この状況は破壊的技術たり得るのではないかとも考えられる.秋元康プロデュースのアイドルが24時間耐久や脱毛配信を行うだろうか.あるいは芸人がアイドルの舞台に立てるだろうか.渡辺直美さんなど例外がいることも認めるが,環境・風土としてVに強みがあるのは明らかだろう.

良くも悪くも格差と障壁

そこで箱は強みだ.この点は既存の大手芸能事務所と不変だろう.ただプロコンがある点に注意がいる.リンク先にもあるとおり,事務所所属自体が目的になっていたり,数字を追えない状況になることが懸念される.大手の事務所として引っ張る側と引っ張られる側がいることは避けられない.これをうまく活用しなければならない.そこで新規参入ライバーに求められる壁もまた高いことは,誰もが再認識しておかなければならないだろう.低質な慣れ合いを予防しなければならない.そこで目的意識は重要だ.

箱の弱みの克服

目的意識

リンク先で述べられている”箱の奔流にのまれない「ギバラと鈴原」”やホロライブの3期生らは好例だ.本人たちがどこまで意識的かは1個人のファンの知るところではないし,見せるようなものでもない.だが彼女らは努力をし,結果として数字がしっかりとついてきているのだろう.

特に後者のホロライブの新規メンバーが素晴らしいと私は考える.この辺りの深層的なものが,私がホロを推している理由かもしれないし,あるいは鶏が先でホロの信仰により従属的にこの考察が生まれているかもしれない点には,読者は注意してもらいたい.にじさんじの2人が箱にいながら個人的なのに対し,ホロライブでは箱にいて集団的で腐っていない.むしろ既存メンバーをエンハンスしていると感じられる.3期生の面白さや勢いがなければ,もっとにじさんじが絶対的な状況が生まれていただろう.さらにそれに続く朝ココも力強い.

裏方の底力

加えて箱で行われる企画も面白い.これは箱の違いの大きな部分ともいえる.にじさんじはライバーの自主性によるところが大きい一方,ホロライブはライバー以外の裏方の努力の比重が大きいように感じる.優劣のつくものではないが,にじさんじが普通のコラボの延長っぽいのに対して,ホロライブは独特の視点・センスが光るように感じられる.

ホロライブの弱点

閉鎖感

ただここまでホロライブの強みを挙げてきたが弱点もある.まず相対的に閉鎖的な印象が否めない.にじさんじが積極的に外部コラボをするのに対し,ホロライブはこの動きが弱いように感じられる.箱自体の強みを生かして内部コラボを重視しているように見える.これも優劣のつくものではないが,多様性の面から見て前者の方が好印象だ.ここには箱の特殊性も関連するだろう.ホロライブは女性限定の箱ゆえにこそ外部男性とのコラボは著しく慎重ではないかと邪推できる.実際にアイドル売りをしているわけでユニコーンも多い中で,このセールスは諸刃の剣として気がかりだ.

多様性

また数と多様性も先述した通りだ.にじさんじに複数の現役社会人がいる中で,ホロライブは経験者が1人だ.またメンバーは全員おそらく20代女性だ.社会人に関する点で,学力的スキルも懸念される.いまのところエンタメとしてこれを昇華できているが,都道府県が半分も分からないのは単純に常識の範疇として思うところがある.そういった点も含め,セーフティーネットとしての裏方のバックアップの重要性も高い.この点は個人事業主的展開を見せるにじさんじに問題が散見される.最近で言えば葛葉スマーフ問題はガバナンス・マナー的な面で有名人としては避けるべき事態だったと私は考える.また通知メールの設定でプチ炎上もしていた.ライバーと同等に裏方の在り方もシビアに問われていくだろう.

pytho.hatenablog.com

格差

これが良くも悪くもだ.やはり人間,新人に勢いよく抜かれることは心が落ち着かないだろう.特に大型新人の勢いたるやだ.内部コラボも多く,メンバーの関係性は良好に見えるが,数字のマネジメントに注意が必要だろう.逆に規模の増大に驚いているような印象を受ける場面もある.アンチも比例して増える.単純な拡大だけでなく安定的な運用に努めるフェーズに移行したようにも感じられる.

まとめ

厄介オタクとして5000字近い考察になってしまった.最大手の2つの箱を比較して分析してみた.それぞれに面白い個性があるので,その強みを今後も存分に生かして,業界の発展に繋げてもらいたい.私はホロライブ箱推しであるもののあくまで中立的に分析したつもりだ.衰退論のにじさんじファンさんと同様のスタンスをとらせてもらった.彼の組織論的なコンテキスに自身の考えを付記しつつ,箱のプロコンをまとめた.結果として衰退論という弱気の論を根拠に,推しの長所の根拠へ利用したのは一抹の心苦しさもあったことを付記しておく.

箱:専らホロライブの強みはアイドルと芸人のマルチスキルと裏方の努力で,弱みは閉鎖感や多様性にあるだろう.加えてメンバー間の必然的格差は両面を持つ.私自身の考察はつまるところこの程度だと思う.

ただ随所に日本社会の課題へのアンチテーゼたり得るのではないかと提起してみた.Vに詳しくない人はこれを機に自身の推しを見つけれもらえれば幸いだ.それに際して,上述の各箱のプロコンで自身に相性の良さそうな箱からお気に入りを見つけれ貰えればと思う.