実際のきっかけはたまたま見かけた下記のツイート。
政治は燃えがちなのでブログでこっそり扱うが結構危機感を覚える。
個人的な基本スタンスとしては、インターネットやグローバル化による変化が大きい中、時代に合わせた改憲は必要に思う。
ただ実際に自民党案に目を通してみると、その内容の酷さから護憲派に回らざるをえない。
自民党の改憲草案と現行憲法の比較はこちら↓のサイトをご参照ください。基本的人権97条の全削除の他にも、育児家事を家庭に押し付ける「家族は助け合わなければならない」とか結婚は両性の合意のみの「のみ」削除とか権利の主体が個人ではなくなるとか…とにかく酷い内容ですhttps://t.co/Q8k15DnEzI
— nichinichi🏳️🌈🏳️⚧️ (@nichinichibijou) 2022年5月5日
憲法改正に際してもっとも議論になるのは、やはり9条だ。
下記の世論調査でも中心的に扱われている。
もちろん重要な条項で、特にロシアの侵略でさらに機運は高まっている。
ただ個人的には権力を縛る行政権の根本的なあり方や基本的人権の保障・規定の方が身近で重要に感じる。
そういう意味で9条に固執した野党とも若干波長は合わないが、下手な改憲で後戻りできなくなるよりかは、護憲して折を見て改善されたものを待った方が良さそうという戦略的判断がくだされる。
そして今回もっとも個人的に驚いたのは、新設される予定の92条案だ。
下記に専門家の詳しい議論があるが、案の文章を読んだときに、戦前の全権委任法や治安維持法が強く想起されたからだ。
憲法と全権委任法について。現行の日本国憲法下で、ナチス時代のドイツのような政府に立法権を与える法律が合憲的に成立する余地はあるのでしょうか? - 弁護士ドットコム 民事・その他
直近でも省令や閣議決定による立法権を無視するようなコントロール、行政権の暴走は散見される。
現状も十分に問題であるが、これが助長され法的に保障されては、いよいよ終わりだ。
私のこの視点のそもそものきっかけを与えてくれたのが、東工大にもいた現在は東大の哲学家の國分功一郎氏だ。
「公の秩序」というのも行政権の暴走としては、上記と同様の文脈を内包しているか。
共産党は色々と問題ありがちに見られがちだが、下記の記述とかは今回考えるにあたり確かに参考になった。
国会の態度で微妙なことも多いかもだが、こういう野党としてのラディカルな民主主義の気風が残っている点は心地いい。
また旧来の左派と同じくあえて9条を維持して、国際的にアピールするのも非現実的でありながら、世直しの態度として残してもいいと思う。
今回の戦争で実質的な西側の連携も明らかになり、米中の露骨な対立リスクは低下したように感じる。
米軍基地で複雑ながら、永世中立と類似のスタンスとして、わざわざ火中に飛び込むことを規定するまでもないのではないか。
最後に話を戻すと、これだけ行政権の拡大を狙いながら、新時代にあわせるような視点は著しく欠けている。
正直、前向きな改善というより、大日本帝国憲法的な後退だ。
自民党が栄える限りはいいかもしれなが、これだけの拡大は改憲後の政権交代で自身の首を絞めることにもなりかねないのではないだろうか。
もっとも行政権を暴走させれば、選挙等もやりたい放題かもしれないが。
誰でもどこの党でもいいから、プライバシーやジェンダーに配慮した新憲法を考えてくれ。
というか現在の社会問題を改憲案にごちゃ混ぜにして考えていくのもいいかもしれない。
例えば少子高齢化や晩婚化。
個人的には行動経済学の本に触発されて結婚の定義を変えるべきに思い、これは基本的には民法の範疇だが、個人の自由のあり方の規定として憲法を通して考えてもいいのではないか。
こうした問題は前述のジェンダーとの関連性も高い。
現在は自治体で個別に決められているが、そもそもは憲法で個人の自由、権利として保障すべきだ。
なんの脈絡もないこの主張は急進革新派、極左的に映ってしまうが、これでこそ若い世代も取り込んだ活発な議論を促せるかもしれない。