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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

ゼミ7:ブロックチェーンとモビリティ

 

pytho.hatenablog.com

 これに触発されて自身の専攻分野でもブロックチェーンが使えるんだろうな,でもよくわからないな,ということでそういう論文を漁った次第

残念ながら国内にめぼしいものはあまりありませんでした

英語なので今回は豪華6本立てとはいかず,2本立てでお送りします

 

CitySense: blockchain-oriented Smart Cities

Simona Ibba, Matteo Seu, Andrea Pinna, Filippo Eros Pani

Proceedings of XP ’17 Workshops, Cologne, Germany, May 22-26, 2017, 5 pages.

内容

Smart City導入のため,都市の環境をモニタリングするため,City Senseというシステムを導入するためSCRUM方法論を用い検討を行うことを目的としている.この方法論は柔軟(参加者の要求と提案を考慮できる)で反復な点が優れているようである.

このシステムでは全市民を顧客と考えており,顧客の重要性を述べている.顧客は開発チームとの協力が不可欠で,ソフトウェアの品質に影響する.また運用時はデータの転送の許可がいる.このデータはblockchainに記録され,ソフトの利用者が需要や優先順位などの分析をする.これにより地方自治体が政策決定を下す.また市議会では,分析過程の監視などスプリントの明確化が必要と述べている.これにより協調的なアプローチが支持される.

次にCity Senseについて説明している.①物理層では温度・湿度・濃度など物理量を観測する.また時間や位置の情報も付加する必要がある.②コミュニケーション層で,このデータをスマホなどIoT機器を通じ送る.Blockchainは整理された③データベース層として,ASCより受信する.そしてこれを地理情報に基づいてGCに分類する.これにより,類型化が簡単になる.なお信頼分散技術によりプライバシーを確保すると述べている.また④アプリケーション層では情報を利用できるようにする.これにより参加者の市民が情報を利用でき,blockchainの透明性の利点が活かされる.同様に行政もこれを利用できる.既存のビックデータ設備などは中央サーバの管理費がかかり,故障時の冗長性に欠ける.よってこれにより行政の管理コストを低減が期待できると述べている.そして,これら各層は並行処理され,SCRUM方法論の利点を生かし反復プロセスで実装される.

SCRUM方法論は市民の支持を高め,これは不可欠だが複雑化させる.そのためスプリントごとに30日間を見積もった.これにより利害関係者の協力が深まるとしている.さらに市民の重要性より,スプリント後にミーティング参加しているようである.

最後に自治体は投資をほとんど行わず周辺環境データを収集し,健康マップを作成しリアルタイムでデータを取得するデバイスを提供できると述べている.

感想〇

全体的に難しかった.構想段階ではあったが,論文の中身で示されたものはほぼ具体化されていたので,今後に期待したいと思った.AIに続いて,blockchain関連は期待できそうに感じた.しかし国内では分野が限られ,あまり見られなかったのが残念だった.やはり,先端のフットワークの軽いものは,外国の方がリードしてそうだった.難しそうだが,こういう草分け的な研究も面白そうで,自身の研究に取り入れられたらと思った.

余談

香港の留学生がいるのは前回話した通り

香港は土地の制約上ってのが大きいが,世界的に有数のコンパクトシティでその点で話題になったので日記というか共有したいかと

他のメンバーがコンパクトシティの問題点を挙げる,具体的に言うと各地域の近接により環境悪化の懸念がある,ものでその点が向こうでどうかという話

香港にはあまり工場はなく,その排ガス的な問題はさほど影響はないそう

しかし高層建築ばかりで風通しが悪く大気環境は結構重要な問題のよう

やっぱ中国と言ったら大気汚染なのかな

昨今,香港と中国ってヤバい話題ですが

というかアンタよくこの時期に来たなという感じでもあるのだが

ここまで英語のコミュニケーションで私の英語力はお察しなので間違っているかもなので悪しからず

 

あと毎日忙しいですが,充実はしているので,意外と悪くないって感じです

 

Towards Blockchain-based Intelligent Transportation Systems

Yong Yuan, Fei-Yue Wang

2016 IEEE 19th International Conference on Intelligent Transportation Systems (ITSC)

内容

ITSに関して,これまで様々な施策がされてきたが,複雑で未だ解決に至っていない.これまでは需要先導的で,情報は中央集権でクローズで発展を阻害し,リスクが高かった.そこでギャップを埋め,blockchainに着目し,ITSフレームワークを作ることを目的としている.

フレームワークは以下の7層を考えている.IoT機器からの記録をする物理層,ブロックに裏付けられたビックデータを収集するデータ層,分散型によりサービスのレジリエンスを担保するネットワーク層,分散ノードを合意させるコンセンサス層,システムを維持するためのインセンティブ層,相互の決済などを行う契約層,そしてアプリケーション層である.

実例として,分散型Uberとも呼ばれるLa'zoozがある.相席や乗継で,効率的な輸送を目指している.そこでユーザーは,スマホの乗車記録からデータ層より支払が実行される.またP2P接続されたコンピュータは,マイナーとして運賃に使えるトークンをインセンティブに計算を行う.また,ある地域の使用率から,システム独自で活性化を促したりする.

他の研究のPTM(parallel transport model)の紹介もしている.A-C-Pステップがある.Aは自動車など物理的情報をデジタル化する.blockchain主導型のDAO/DASs(Decentralized Autonomous Organization/ System/ Society)としてモデル化することができる.CはITSの評価・検証のため計算実験ができるとしている.Pはそれをフィードバックする段階としている.

ほかにも自動車の転売において,行政の登録を介さず直接取引することができる例などを挙げている.また自動化により,ITSの複雑さを軽減できるだろうと述べている.

課題として,セキュリティを挙げている.また利用者個々とシステム全体の目標を一致させるよう,クラウドソーシングのシステムを適切に設計する必要がある.ここに述べきれていない種々の課題も検討・解決する必要があると述べている.しかし,これによりきめ細かい輸送管理が行えると期待されるとまとめている.

感想◎

先の論文より土木寄りで具体的で実用性があるように感じ面白かった.課題も明確でよかった.