最近EVの話題が非常に活況になってきた印象がある.
やはりトップの鶴の一声の影響は計り知れないといったところか.
日経の一面もESG関連も含め環境のテーマが強くなってきた印象だ.
東京都、30年から新車販売すべて電動車に 知事が目標: 日本経済新聞
企業年金4割「ESG採用したい」 本社・R&I調査: 日本経済新聞
コロナ後のモビリティー戦略、かくあるべし | 日経クロステック(xTECH)
ようやくトップがグローバルスタンダードの態度に並んだ印象だが,前途は多難そうだ.端的に言えば市民理解だ.こうしたテーマは留学のテーマでもあった.
そうこれ!俺が言いたいのはこういう事だよ pic.twitter.com/DfUrAT5w3Y
— うい@耀 (@uiro_Hikaru) 2020年12月3日
言いたいことは非常に理解できるが,議論にデータは欠かせない.
以下に示すように簡単にツイートにまとめたが補足的に記そうと思う.
RTでTLにある誤りを正したいけど研究内容をあけっぴろげに示すわけにもいかず難しい.
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2020年12月4日
今日の日本の火力が多い発電でも,乗用車のライフサイクル全体での排出量は内燃機関が劣る.https://t.co/HhhinkhLHShttps://t.co/QhTXyh0Tmf
やはりこうした議論には論文をあたるのが手っ取り早い.
研究内容は守秘義務のような風潮もあるので,やはりこれが無難だ.
ぶっちゃけ上記のリンクもライセンスがないと詳しくは読めないかもしれないが,端的にまとめればツイートでもまとめたとおり電気自動車EVの環境性が内燃機関車ICEより優れる.グラフを見れば明示的だ.
この手の情報は上記のようなリンクを見れば明らかである.
この情報に懐疑的な態度も多いかも知れないが,複数のソースを比較すれば自ずと明らかになるはずだ.またScience Directは学術分野で非常に一般的で信頼性は高い.論文でも査読なしでは信頼性が低い.
コンテンツ
フルテキストの論文から信頼性の高い書籍まで、数百万件の学術文献を有するデータベース。エルゼビアの厳格な出版基準が出版物の品質を保証します。論文は著名な編集者からなる編集委員会の指導を受け、厳格な査読を受けています。
ScienceDirect | エルゼビアの先進的な情報ソリューション | Elsevier
これらの論文を見つけるのも思いの外簡単で,Science Directの検索バーか,Google Scholarで「EV Well-to-Wheel emission」とでも調べれば,上位に適切な結果が表示される.現実は非常にあっけないものだが,こうした道具の使い方こそが大学で習う重要な点なのだろう.Well-to-Wheelなんていうのは専門用語だし,やや上級テクニック的なところはあるが,これはこうしたテーマを研究していた成果か.
また大卒の多い国でありながら,こうした科学的態度が普遍的でないことに違和感がある.
下手したらこの記事もロジハラと訴えられかねなそうだが,ロジックのハラスメントとは意味がわからない.
EV普及促進はEUのポジショントークというのも理解できるが,中国が本気になってしまい米国も続く流れ(バイデン)なので,不可逆的な流れを感じる.
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2020年12月4日
日本は残念ながら保守的で後進的.
これはゼミで集めた断片的情報による私の個人的な推測の要素が強い.
とはいえ中国国内では新車購入時にEVが圧倒的に有利になっているようだ.
以前は中国といえば大気汚染がひどいイメージで,それは工場排気に加え,都市内の渋滞した内燃機関車の影響も大きかっただろう.これに現地政府も強い問題意識を感じたようだ.
日本では無名だが,頭角を現したEVメーカのBYDなどのスペックには眼を見張る.
このままパワートレインのシフトに乗り遅れて,豊田や横浜でガソリン車を作っていると,自動車生産のシェアをサプライチェーンごと奪われかねない.
モータースポーツや車好きは既存のエンジン車が好きなようだけど,昨今ではモータの出力の方が高く速い説もあるとか.
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2020年12月4日
以下はHEVだけど趣味もアップデートが必要かも.
内燃機関車の排斥として見るのではなく,新時代EVの登場にリフレーミング!https://t.co/RGxcld9fd9
ぶっちゃけモータースポーツは素人なのであまり話さないほうがいいのだが,就活で高級車ディーラの話を聞く機会もあった.その人によれば,モータによる車の加速性能もすごいらしい.導入が進まず消極的なシフトになっているのは,スポーツカー全体でバッテリー重量がネックになっているのかもしれない.
以下の動画はブレーキ時のモータの回生によるエネルギー回収と,そのエネルギーによる加速のブーストがよく分かる.最高速度が新幹線を超えているのだから驚きだ.
話がEVとICEの対立に終始してしまったが,根本的な問題としてエネルギー元の問題がある.
これが実は先に示したWell-to-Wheelという考え方で,私の研究テーマの鍵でもある.
EVは走行時には何も排出しないからこそ,給電する電気の発電時の排出に着目するわけだ.そのため前出の風刺画も完全な誤りではない.ただ排出するガスについては,ICE,画像上の方が多くないと正しくない.
これを考える上で,走り方や車重,地域など多くの問題があるため,活況なテーマになっている.
もちろん電気を再生可能エネルギーによって賄えば,完全ゼロエミッション車を達成できる.カナダや北欧ではもともと再生可能エネルギーの比率が高いので,実現性は高い.一方日本では難しい.
そうした現実的な塩梅も研究の面白く難しいところだ.
しかし最終的に運輸もゼロエミッションを目指すに当たり,やはり車両の電化は不可欠なのである.そして同時に脱火力,脱化石燃料を進めていかなければならない.
全物件の電力、100%再生エネルギーに ヒューリック: 日本経済新聞
EVシフトが進んでガソリンとしての石油のニーズが下がったとき、別の沸点の石油産業(石油化学、ジェットなど)への影響は気になる
— AOKI Takashige (@aochan_0119) 2020年12月3日
蛇足として個人的な興味として,石油のミックスの長期的な展望はこうしたテーマで非常に関心がある.石油は沸点ごとに形態が決まっていて,仮にEVシフトが進んでガソリンの需要が大きく下がった時,石油が依然必要となる石油化学やアスファルトはどうするのだろうか.