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高専から駅弁大学から東工大を経て大企業へ 浅く広い趣味とかキャリアの日記を

科学との距離

先日,晴れて東京工業大学修士課程を修了しました.

おめでたい.

ということで科学的なトピックをまとめておきたい.

 

研究成果はやはり書くべきではないだろうということで.

とはいえ修了後も,いわば残業ということで査読が控えているのですが..

ということもあって,ぶっちゃけブログなんて書いている場合でもないけれど,最近ご無沙汰だったし,こういう内容をスルーするわけにも行かないだろうと.

 

この残業はサービス残業的で問題という見方もあるだろう.

しかし個人的には非常に肯定的に捉えている.

というのも,分野のプロである先生に直接的指導を貰える機会は,やはり大変貴重この上ないからだ.至上の喜びといってもいい.辛いことも事実ではあるが.

本来であれば,こうした内容は学費に代表されるように有料だ.

けれども,付き合いということでウィンウィンが保たれるわけだ.

とはいえブラック研究室があるのも事実だろうし,弊社との副業的な面を厳密に精査するとグレーな感じもする..

 

研究関連で言うと,図書館の使用期限たる3月末日に読んだ本で,フィジカルインターネットという物流の本が非常に面白かった.

「フィジカルインターネット」という名称を提案したのはブノア・モントルイユだ。彼は英国の雑誌エコノミストの2006年6月17日号の表紙のタイトルにあったThe Physical Internet(記事は標準的なロジスティクス業務のことを書いていた)に着想を得た。この言葉は、今日の相互につながったITネットワークに似た物理的なネットワークという概念を自然に思い起こさせる。思えば、どちらのネットワークも、元々は多様で互換性のない技術のせいで、相互につながっていなかった。したがってネットワーク事業者同士が通信できるようにするために、違う技術を使う会社とは、特定のインターフェースを構築する必要があった。時間の経過とともに、これらの特殊なインターフェースは成長を阻害するものとみなされ、相互接続を標
準化しようとする機運が高まった。

各社で多層化,重複し,社会全体では非常に不効率な物流の改善策を示している.

インターネットよろしく規格化を図りながら,通信の秘密よろしくプライバシーも守ったりという感じだ.

海運コンテナはその輸送特性上,そうした取組が早くに進んでいると指摘している.

欧州を発端に,自動車輸送の多い北米にも波及し,NATOというか西側諸国がやはりリーダーシップをとっているようだ.

あるいは既存にも良好なシステムそれ自体はあって,例えばパレットや貨物鉄道,飛行機のダイナミックプライシングが挙げられる.

これが失敗した原因を分析するとともに,現代風の改善の模索もある.

もっぱら私の研究とアプローチは違ったものの,目的とするところが非常に近いため面白かった.

実際に研究における環境改善効果も示されていた.

 

 

 

あるいは以下も面白かった.以下のレビューは同感なところもあったが.

 

 

大学と社会を結ぶ科学コミュニケーション

大学と社会を結ぶ科学コミュニケーション

  • 作者:小林 俊哉
  • 発売日: 2019/09/10
  • メディア: 単行本
 

2020年2月29日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

 

そもそもの借りようと思った動機は以下だ.

 

pytho.hatenablog.com

pytho.hatenablog.com

 

時間のある春休みを用いて,当時のメモを振り返ろうと思っていたものの,先に述べたような追加作業のほか,積みゲー,積み本も多く,結局できなかったのは,猛省するところだ.

しかし社会人生活も始まってしまい,いよいよ振り返りは難しいか.

まあ本書は面白いとは思ったものの,文体や内容はほぼ論文だった.

また論文っぽいこともあって,各章のまとめや全体のまとめでの内容の重複がくどかった.

ただ

  • ファラデー教室
  • 科学技術基本計画
  • 組織的取り組み
  • 研究機関のアンケート統計クロス分析結果

の紹介は面白かった.

 

 

www.nikkei.com

 

まあともあれ大学院生活は,これまでの学生生活でも突出して有意義だった.

2年目はコロナで色々制限はされてしまったものの.

それなので,機会があれば,またアカデミックに戻りたい気持ちが強い.

そうさせる東工大の現在の教育システムもすごいものとは思う.

 

このまま弊社の配属が希望通りになれば,この分野の造詣を深めるべく,同じ研究室に戻るのも面白そうだ.

そうでなくても,経営系は文系のようで理系だったりするし,どの分野ともシナジーがあって潰しがきくし,やはり社会人の学位といえばMBAみたいな印象もあるので,そういう感じで別のマスターをとるのも面白そうだなあと思ったりしている.

 

そういえば,これ関連では以下も面白かった.

 

「理工系離れ」が経済力を奪う 日経プレミアシリーズ
 

 

本書は東工大や東大理科一類の工学系の学生が不当な扱いを受けているというような書き口で当事者として興味深かった.

確かに文系学生の「卒論しんど笑」みたいなのには,心底腹立たしいので共感も多かった.

さらに本書は文系,特に経済学の先生方をボコボコにしていてスカッとした.

そこまで書くこともあろうかとも思うし,このあたりは読む人を選ぶところだろう.

ただ工学部が不当な扱いを受けているのは事実で,これは生涯賃金にしてもそうだったりするわけだ.

特に専務になれるか.

なんだかんだ文系学部で金に触れている分の差が出るらしい.

 

ただこのあたりは情報が古い感じも否めない.

最近では理系,それこそ高専出身者が経営陣というのも珍しくなくなってきた.

 

今後はこれがジェンダーに広がっていくのだろうか.

ここまできてようやく多様性といえるくらいになるか.

ただ経験問わず,すなわち年齢も,所属(外部監査的な)・経歴(最悪犯罪歴もモノによっては?)も問わなくなるのが,将来的な形のようにも思えるが.